風邪の高熱で寝ていたら

以前、パチンコ屋に

住み込みで働いていた時の話。

 

その日は朝から調子悪くて、

フラフラしながら仕事してた。

 

主任に、

 

「大丈夫?熱あるんじゃない?」

 

って聞かれて、

 

初めて熱が出てたのに

気がついた。

 

事務所で熱を計って来るように言われ、

計ってみたら案の定39度位あった。

 

「今日はこのまま自室に戻って

休んでいいよ」

 

と、主任が部屋に帰してくれた。

 

この時、確か

午前11時位だったと思う。

 

部屋は店の上の寮の一室で、

 

店の裏口から出て

素直に部屋に戻った。

 

布団を敷いて横になったら、

 

熱のせいか、

すぐウトウトし出した。

 

暫くして部屋のドアノブが

ガチャガチャと言い出した。

 

同じ寮の非番の誰かが、

お見舞いにでも来てくれたのかな・・・

 

なんてボンヤリ思ったけど、

部屋には鍵をかけてたんだ。

 

でも、おかしいんだよね。

 

普通ならドアをノックする

はずなのに、

 

そいつはノブをノックも無く、

ずっとガチャガチャやり続けてる。

 

なんだよ、うるさいなー

って思いながら、

 

渋々ドアの方へ行こうと

体を起こした。

 

そしたら体が動かない。

それこそ指1本も。

 

これが噂の金縛りかっ!?

 

なんて思いながらも、

必死で動かそうとしてた。

 

そしたら鍵のかかってたはずのドアが

突然開いた。

 

「よぉ~、○○!大丈夫か~?」

 

そんなノリで、

 

いきなり同じ寮の

先輩が入って来た。

 

「風邪で熱出たって~?

いやオレ心配で来ちゃったよ~」

 

ヘラヘラしながら

先輩は話かけてきた。

 

いや自分、

今それどころじゃないんです。

 

熱でフラフラするし、

おまけに金縛りで動けないんです。

 

それを言いたくても、

言葉も何故か出ないんです。

 

そんな事を考えてたら、

先輩の後ろから主任まで来て、

 

「なんだ、○○、寝てるのか。

大丈夫か?」

 

なんて、

のん気にほざいてくれる。

 

いや今、金縛りで・・・。

 

つか、なんであんたら勝手に

人の部屋入って来るんさ。

 

こっちが内心ジタバタしてたら、

 

先輩と主任は何やらその場で

ぼそぼそ話し出した。

 

そしてそのまま二人とも

こっちに近づいて来た。

 

今ダルイしほっといて~!

つか、金縛りなんとかして~!!

 

そう思った瞬間、

体が動いた。

 

慌てて起き上がって、

先輩と主任に話しかけようとしたら、

 

そこは誰もいない。

 

慌ててドアを調べたけど、

鍵はキッチリかかってる。

 

もしかして夢だった?

 

そう思って時計を見たら、

午後2時過ぎ。

 

確かに眠っていたとは思うけど、

 

妙にリアルで、

夢なんかじゃなかったと思う。

 

次の日、

 

その先輩と主任に

その事を話したら、

 

その時間は仕事で、

店内のホールにいたらしい。

 

他の従業員からは、

先輩の生霊だ!

 

って、からかわれたけど。

 

それからもう何年も経ってるけど、

あれはやっぱり夢じゃないって思ってる。

 

(終)

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