マンションで見た人影と親友の死
俺は、15階建ての
マンションに住んでいる。
その15階に、
大きい共同風呂がある。
俺は、水道代とガス代の
節約のため、
その日の夕方も共同風呂に行くのに
エレベーターに乗った。
そしてさっぱりして、
さあ部屋に帰るか!と思って、
エレベーターに向かった。
俺の住んでるマンションは、
エレベーターに向かう
途中の廊下から、
外が見えるんだ。
道路や線路。
他の階の廊下や、
非常階段まで。
そして廊下を歩く時、
何気なく非常階段を見たんだ。
8階の非常階段に、
人っぽいものがいた。
初めは、
「ああ、あそこにもエレベータ
あったよな~」
と思ってたけど、
俺は異変に気づいた。
その人らしいのは、
顔が真っ黒だった。
夕方だけど、
まだ少し明るいのに。
えぇ!?え?え?え?と、
混乱してしまった。
そうしたら、その人らしいのと
目が合ったような気がした。
突如、その人らしいのが
走って来た。
8階へ、9階へ・・・、
俺は走って逃げた。
エレベーターのボタンを押すが、
エレベーターが来ない。
だけど、人の影は
もう15階に・・・。
エレベーターが来たから、
すぐに自分の階を押した。
エレベーターの外から、
バン!バン!バン!と、
ドアを叩く音がする・・・。
恐怖で汗が出っ放し。
エレベーターに乗っているが、
各階に付いてる小窓からは、
14、13、12、と連続して、
その人影が映った。
映画の「呪怨」と、
全く同じ状況。
でも、自分の階へ到着した時は、
その人影が無かった。
自分の部屋の鍵を開け、
入ろうとして、
何気なく、
また非常階段を見たら、
人影がションボリと座っていた。
一瞬、「あれ・・・?」と、
なんか悲しくなった。
でも、恐怖が襲って来て、
すぐ部屋に入り、
鍵を掛け、チェーンをした。
翌日、
学校に行ったら、
赤ん坊の時から大学の現在まで
親友のAが、
交通事故に遭ったと聞いた。
なんでも、
車に撥ねられた時、
どぶ川に転落したらしい。
どぶで体の自由を奪われ、
川から抜けれなかったらしい。
結局、
水死か溺死だった。
引き上げられた時は
全身にどぶが付いていて、
顔も何も見えなかったらしい。
ひょっとして、
エレベーターで見た
あの人影は、
Aの別れの挨拶だった・・・
のかも知れない。
(終)