死者の霊と波長が合ってしまった

布団

 

私の父親の体験談です。

 

今から30年以上も前の話です。

 

当時、母が長男を妊娠中で、平屋の貸し屋に住んでいた頃、父と母は一番奥の寝室に寝ていたそうです。

 

父は霊感が強く、頻繁に霊体験をしていました。

 

その日、夜中に父は金縛りに遭い、仰向けのまま目だけが動く状態でした。

 

「疲れてるのかな」と思い、再び寝ようと思いましたが、突然つま先からボーリングの玉のような重い丸いものが胸元まで転がってきたそうです。

 

胸元まで来るとふっと消え、またつま先から。

 

それが数回繰り返された後、金縛りは解けました。

 

ふと横を見ると、白いパジャマ姿の母が枕元に座っていました。

 

臨月だった母が不安で起きたのだと思い、父は母の手を握り「大丈夫だから」と言うと、枕元にいた母は消えたそうです。

 

父は「えっ?!」と思って、横で寝ている母の方を見ると、母はぐっすり眠っている。

 

父が母を揺すり、「おい!おい!」と声をかけると、「・・・う~ん・・・なぁにぃ?」と不快そうに起きたそうです。

 

その時、母は黒いパジャマを着ていました。

 

後日、自宅近くの病院の看護士が、隣の公園で首を吊って自殺したという話を聞いたそうです。

 

日付けと時間が、父が母と間違って手を握ったのと同じだったそうです。

 

父いわく、「面識は全くないからたぶん波長があっちゃった」だそうです。

 

(終)

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