部屋探しで最高の条件の物件を見つけたが
もう9年も前になるかな。
大学に合格して部屋を探している時、
部屋の状態が良くて、
出来るだけ値段の安い所を探していました。
何件か不動産屋をハシゴしていると、
築6年、3階南東角部屋、1K11畳、
家賃3万5千円でバストイレ別、
という物件があったんです。
当時としてはバストイレ別なんて珍しく、
部屋の状態も良いらしい。
条件も最高なので、
ひょっとしたら『アレ』な部屋かな?と。
それまで心霊現象のかけらすら
体験したことが無かったので、
ちょっと期待しながら見に行きました。
震えながら逃亡することに・・・
そこは住宅街の奥まった場所にあり、
車通りも少なそうで結構良い。
こういう話でよく聞くような、
なんか嫌な感じとか、
空気が淀んでいるとか、
そんな変な雰囲気は全く感じませんでした。
そもそも霊感など全く無いので・・・
不動産屋さんに案内されるまま、
部屋の中に入りました。
状態は本当に良いので、
なんでこんな物件が・・・と思いながら
トイレや風呂を一通り見てから、
ベランダから外の眺めを見てみようと、
そっちの方に目を向けました。
そこには、
とんでもないものが・・・
その物件のベランダは、
コンクリートの壁の上に10cmほどの高さの
手すりが付いているのですが、
そのコンクリートと手すりの隙間から、
女の人がじーっとこちらを見ているのです。
怒気を含んでいるとか悲しげとか、
そんな感情は全く無かったのですが、
その無感情さが逆にヤバイ。
その部屋は3階だし、
ベランダの外には人が乗っかれるような
出っ張りも無かったはず。
ベランダに手を掛けている様子も無い。
予想だにしない不意討ちにビビり、
一瞬、金縛り状態になってしまいました。
冷水を浴びたような・・・
という表現がありますが、
あれって本当なんですね。
体温が数度、
一気に下がったような感覚でした。
震えながら「ここはちょっと・・・」
と言葉を濁しながら逃亡。
情けない姿を・・・
部屋を出た後で、
女の人がこっちを見ていたことを
不動産屋さんに話してみたら、
「ああ、やっぱりですか」
・・・と。
どうやら今までこの部屋に入った人の話と
一致しているらしい。
ただ、入居前に遭遇した人は
私が初めてだったと言う。
表の通りからその部屋のベランダを
見れるのですが、
さすがに見上げる気にはなりませんでした。
今度は見下ろしているその女の人と、
目が合ってしまいそうで・・・
急いでその場から退散してきました。
それ以降も霊体験はやはりありませんが、
時々、夢に見ます。
・・・あの目を。
ちなみにその物件ですが、
先日たまたま近くに行く用事があったので
見に行ってみたのですが、
取り壊されて更地になっていました。
建て替えようとしている雰囲気じゃなくて、
取り壊して撤去した後、
放置されているという感じでした。
やはり、かなり『いわく有り』の
物件だったのでしょうか・・・
(終)