風呂に入るのが怖くなったワケ
風呂に入っている時に起こった怖い話。
その時はいつも通り、髪を洗っていた。
うちの風呂には鏡が付いていて、なんとなくそれ見ながら洗う。
そして、シャンプーを流すか、と思ってシャワー手に取って目を瞑ろうとした時、浴槽のフタが少し開いていた。
俺は、「ん?さっき閉めたような?」と思ったけれど、気にせずシャワーを浴びた。
じゃあ次は顔を洗うか、と思って石鹸を手に取った時、何気なく鏡で浴槽の方を見たら、さっきよりもフタの開き方が大きい気がした。
流石になにか寒気がして、「さっさと顔を洗って風呂から出よう」と思った。
顔を洗う時は当然目を瞑る事になる訳だが、洗っている最中に浴槽のフタがコロコロ・・・と回っている音がした。
シャワーの音に紛れてはいたけれど、確かに聞こえた。
俺は「ヤバイ!」と思って、石鹸が目に入るのも構わずに、直接浴槽に目をやった。
すると、浴槽のフタはきっちりと閉まっていた。
なので、顔を洗っている最中に聞こえた音は、勝手にフタが閉まる音だったんだなと思ってホッとした。
そういうことは結構ある。
中途半端に開けていたフタが自重で閉まる事。
心底ビビっていた自分がアホらしくなって、もう一回顔を洗おうとして、ふと鏡を見た。
すると、髪が異様に長い、見知らぬ女が俺の背中にしがみ付いていた。
俺はショックのあまりぶっ倒れ、1時間後くらいに親に起こされた。
以来、まともに風呂に入れない。
顔や髪を洗う時、目を瞑る恐怖に耐えられないのだ。
(終)