呪う女 4/18

慎は来ていたので、慎と二人で

「もしかして淳、あの女に・・・」と思いながら、

学校帰りに二人で淳の家を訪ねた。

 

家の呼び鈴を押すと、

明るい声で「はぁーい!」と

淳の母親が出て来た。

 

俺が「淳は?」と聞くと、おばさんは

「わざわざお見舞いありがとねー。

あの子、部屋にいるから上がって」と言われ、

俺と慎は淳の部屋に向かった。

 

「淳!入るぞ!」と、

淳の部屋に入ると、

 

淳はベットで横になりながら

漫画を読んでいた。

 

意外と平気そうな淳を見て、

俺と慎は少し安心した。

 

慎「何で今日休んだん?」

俺「心配したぞ!風邪け?」

淳「・・・」

 

淳は無言のまま漫画を閉じ、

うつむいていた。

 

そこに、おばさんが菓子とジュースを

持って来て、

 

「この子、10日ぐらい前から

ずっとジンマシンが引かないのよ」

と言って、

 

「駄菓子の食べ過ぎじゃないのー?」

と続けた。

 

そして笑いながら、おばさんは

部屋を出ていった。

 

俺と慎は笑って、

「何だよ!脅かすなよー、ジンマシンかよ!

拾い食いでもしたんだろ?」

と、おどけたが、淳はうつむいたまま

笑わなかった。

 

慎が「おい!淳どうした?」と尋ねると、

淳は無言でTシャツを脱いだ。

 

体中に赤い斑点。

確かにジンマシンだった。

 

俺は、

「ジンマシンなんて

薬塗ってたら治るやん」

と言うと、

 

淳が、

「これ、あの女の呪いや・・・」

と言いながら、背中を見せてきた。

 

確かに、背中も無数にジンマシンがある。

 

慎が、

「何で呪いやねん。もう忘れろ!」

と言うと、

 

淳は、

「右の脇腹見て見ろや!」

と少し声を荒げた。

 

右の脇腹・・・

たしかにジンマシンが一番酷い場所だったが、

なぜ呪いに結び付けるかが分からなかった。

 

すると淳が、

「よく見ろよ!これ、顔じゃねーか!」

 

よく見て、俺と慎は驚いた。

 

確かに直径5センチ程の人、

いや、女の顔のように

皮膚がただれて腫れ上がっている。

 

俺と慎は、

「気にしすぎだろ?たしかに

顔に見えないことも無いけど」

と言ったが、

 

「どー見ても顔やんけ!俺だけやっぱり

呪われてるんや!」

と言った。

 

俺と慎は、淳にかける言葉が

見つからなかった。

 

と言うより、淳の雰囲気に圧倒された。

 

いつもは温厚で優しい淳が・・・

少し病んでいる。

 

青白い顔に覇気のない目。

きっと精神的に追い詰められているのだろう。

 

俺と慎は急に淳の家に居づらくなり、

帰ることにした。

 

帰り道、俺は慎に、

「あれ、どー思う?呪いやろか?」

と聞いた。

 

慎は、

「この世に呪いなんてあらへん!」

と言った。

 

なぜかその言葉に俺が勇気づけられた。

 

それから三日過ぎた。

依然、淳は学校には来なかった。

 

俺も慎も淳に電話がしづらく、

淳の様子は分からなかった。

 

ただクラスの先生が、

「風疹で淳はしばらく休み」

と言っていたので、少し安心していた。

 

しかしこの頃から、学校で

奇妙な噂が流れ始めた。

 

『学校の通学路で、トレンチコートに

サンダル履きのオバさんが、学童を一人一人

睨むように顔を凝視してくる』

 

という噂だ。

 

その噂を聞いた放課後、

俺は激しく動揺した。

 

何故なら、俺は唯一

間近で顔を見られている。

 

慎に相談した。

 

慎は、

「大丈夫!夜やったし見えてないって!

それにあの日見られてたとしても、

忘れてるって!」と、

 

俺を落ち着かせる為か、

意外と冷静だった。

 

何よりも嫌だったのが、俺と慎は

通学路が全くの正反対。

 

俺と淳は近所なのだが、淳が休んでいる為、

俺は一人で帰らなければいけない。

 

俺は慎に、

「しばらく一緒に帰ろうよ!俺、恐い」

と慎に頼んだ。

 

慎は少し呆れた顔をしていたが、

「淳が来るまでやぞ!」

と言ってくれた。

 

その日から帰りは俺の家まで、

慎が付き添ってくれる事になった。

 

その日は、学校で噂の

『トレンチコート女』(推定・中年女)

には会わなかった。

 

次の日も、その次の日も会わなかった。

 

しかし、学校では相変わらず、

『トレンチコートの女』の噂は囁かれていた。

 

慎と一緒に下校することになって五日目、

俺達は久しぶりに淳の見舞いに行くことにした。

 

お土産に、給食のデザートのオレンジゼリーを

持って行った。

 

淳の家に着き、チャイムを押した。

 

いつもの様におばさんが明るく出て来て、

俺達を中に入れてくれた。

 

淳は相変わらず元気が無かった。

 

ジンマシンは大分消えていたが、淳本人は

「横腹の顔の部分が、日に日に

大きくなっている」

と言い、俺と慎には全く分からなかった。

 

むしろ、前回見たときよりは

マシになっているように見えた。

 

精神的に、淳はショックを

受けているのだろう。

 

俺達は学校で流れている

『トレンチコートの女』の噂は、

淳には言わなかった。

 

帰り間際に、淳のおばさんが

俺達の後を追いかけて来て、

 

「淳、クラスでイジメにでも

あっているの?」

 

と不安げな顔で聞いてきた。

 

俺達は否定したが、

本当の理由を言えないことに、

少し罪悪感を感じた。

 

(続く)呪う女 5/18へ

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