リアル 2/11

昨日、アイツがいた辺りの床に、

物凄く臭いを放つ泥(多分ヘドロだと思う)が、

それも足跡ってレベルを超えた量で残ってた。

 

起きた事を事実と再認識するまで、

時間はかからなかった。

 

ハッと気付いて、

ますますパニックになったんだけど、

・・・俺、電気消してねーよ・・・ははっ。

 

スイッチ押した左手見たら、

こっちにも泥が付いてんの。

 

しばらくは、どんよりした気持ちから

抜けられなかったが、出ちまったもんは

仕方ねーなと思えてきた。

 

まぁここら辺が、俺がAB型である

典型的なとこなんだけど、

そんな状態にありながら、

泥を掃除してシャワー浴びて出社した。

 

臭いが消えなくてかなりむかついたし、

こっちはこっちで大問題だが、

会社を休むことも一大事だったからね。

 

会社に着くと、いつもと変わらない

日常が待っていた。

 

俺は、何とか○○と話す時間を探った。

 

事の発端に関係する○○から、

何とか情報を得ようとしたのだ。

 

昼休み、やっと捕まえる事に成功した。

以下、俺と○○の会話の抜粋。

 

「前にさぁ、話してた『△すると◆が来る』

とかって話あったじゃん。

昨日、アレやったら来たんだけど」

 

「は?何それ?」

 

「だからぁ、マジ何か出たんだって!」

 

「あー、はいはい。カウパー出たのね」

 

「おま、ふざけんなよ。

やっべーのが出たってんだよ」

 

「何言ってんのかわかんねーよ!」

 

「俺だってわかんねーよ!!」

 

駄目だ、埒があかない。

 

○○を信用させないと何も進まなかったため、

俺は淡々と昨日の出来事を説明した。

 

最初はネタだと思っていた○○も、

やっと半信半疑の状態になった。

 

仕事終わり、俺の部屋に来て

確かめる事になった。

 

夜10時、幸いにも早めに会社を出られた

○○と俺は部屋に着いた。

 

扉を開けた瞬間に、

今朝嗅いだ悪臭が鼻を突いた。

 

締め切った部屋から熱気とともに、

まさしく臭いが襲ってきた。

 

帰りの道でもしつこいくらいの説明を

俺から受けていた○○は、

「・・・マジ?」と一言呟いた。

 

信じたようだ。 

 

問題は、○○が何かしら解決案を出してくれるか

どうかだったが、望むべきではなかった。

 

とりあえず、お祓いに行った方がいいことと、

知り合いに聞いてみるって言葉を残し、

奴は逃げるように帰って行った。

 

予想通りとしか言いようがなかったが、

奴の顔の広さだけに期待した。

 

臭いとこに居たくない気持ちから、

その日はカプセルホテルに泊まった。

 

今夜も出たら終わりかもしれない、

と思ったのが本音。

 

翌日、とりあえず近所の寺に行く。

さすがに会社どころじゃなかった。

 

お坊さんに訳を説明すると、

「専門じゃないからわからないですね~。

しばらくゆっくりしてはいかがでしょう。

きっと気のせいですよ」

 

なんて呑気な答えが返ってきた。

世の中こんなもんだ。

 

その日は、

都内では有名な寺や神社を

何軒か回ったが、

どこも大して変わらなかった。

 

疲れ果てた俺は、

埼玉の実家を頼った。

 

正確には、母方の祖母がお世話になっている、

S先生なる尼僧に相談したかった。

 

っつーか、その人以外で、まともに

取り合ってくれそうな人が思い浮かばなかった。

 

(続く)リアル 3/11へ

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