その番号にかけると霊界に繋がる

公衆電話

 

俺がまだ小学生だった頃の話。

 

俺の家の近所には、『青柳タンス』という廃屋があった。

 

と言っても、そこがタンス屋だった訳ではない。

 

ただの民家だったのだが、壁面にそういった看板が掛けられていた。

 

そこには電話番号も書かれてあり、『その番号にかけると霊界に繋がる』という噂が当時の俺たちの周辺であった。

 

ある日、その番号をメモして公衆電話から電話をかけてみる事に。

(携帯電話はまだ無い時代)

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電話が繋がった先は・・・

プルルルルル・・・

プルルルルル・・・

 

電話をかけてみると、呼び出し音は鳴るが、いくら待っても誰も出てくれない。

 

プルルルルル・・・

プルルルルル・・・

 

友達数人と面白がって何度かかけていたが、誰かが「多分、実際に青柳タンスにかかっていると思う。電話する一人だけ残って、後はみんなで青柳タンスに行こうよ」という話になった。

 

そこで、俺一人が残って電話をかけることになった。

 

プルルルルル・・・

 

みんなが青柳タンスに着くぐらいの頃に電話してみると、いつも通りの呼び出し音が鳴った後、『がちゃ』と音がして電話が通じた。

 

俺は友達が電話の受話器を取ったと思い、「そっちの様子はどう?」と訊いてみたが返事は無い。

 

代わりに、声の低い男の人とお婆さんの声が混ざったような声で「ト・コ・ヨ・ワ・タ・リ」という返事だけで電話が切れた。

 

恐くて怖くてみんなが戻って来るのを待ったが、結局は誰一人として戻って来なかった。

 

俺は心配して、親に言って友達みんなの家へ電話をかけてもらうと、「電話がかかって来なかったので、つまらなくなってみんな自分の家に帰った」と言う。

 

何も言わずに家に帰ってしまうなんて・・・と変に思ったが、その日以来みんなの様子が少し変わってしまって、なんとなく俺たちは疎遠になっていった。

 

それから十数年後の同窓会で、思いもよらない話を聞いた。

 

あの時に遊んだ俺以外のみんな全員が、学生時代に健康を害して病気で亡くなってしまったという。

 

(終)

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