北西の方角に太陽が昇っていた

太陽

 

8年前の夏の事。

 

珍しく朝5時頃に目が覚めて、なんとなく窓のカーテンを開けたら、ちょうど夜明けだった。

 

ベランダに出て白んでいる方を見やると、綺麗な日の出。

 

「このマンションに住み始めて初めて見る日の出だなあ」と、2秒ほど見とれていてようやく気付いた。

 

そっちは北西の方角・・・。

 

日が出るわけがない。

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本当は何があったのか?

「え?!あれ?」とパニックになっていると、斜め向かいのマンションのベランダに人が居るのが視界に入った。

 

こちらに手を振っている。

 

というより、両手をこちらに突き出して、「待て待て」とやるように手首を横に振っている。

 

口も動いて何かを伝えようとしているようだが、何も聞こえない。

 

「あの太陽は何?アンタは誰?」と、さらに混乱しているうちに意識が無くなった。

 

次に目が覚めたのは病院のベッドの上。

 

実に6日が経っていた。

 

俺はというと、『頭蓋骨陥没骨折』

 

後頭部の形が変わるほど滅茶苦茶に。

 

母に聞いたところによると、俺はその朝、ベランダで頭を鮮血に染めて倒れていたという。

 

血痕からすると、俺はベランダの壁に後頭部を激しく打ち付け、頭を割ってそのまま倒れたらしい。

 

いやいや、そんなわけないだろう、と。

 

後頭部を激しく壁に打ち付けって、どんな動きをしたら出来るのだ、と。

 

滑って転んだならまだ分からなくはない。

 

でも、壁の血痕は立った状態での頭の高さにあった。

 

結局は何が起こったのかは分からないまま、頭は致命傷にはならず、外傷も治ったものの、俺は酷い頭痛と不眠症、時々来る麻痺に悩まされる羽目になった。

 

そして最近になって、この時の記憶がおぼろげに湧き上がって来た。

 

あの手を振る人を見た直後、俺は何かに気付いて別の方向を向いた。

 

すると、何故かベランダに中学生ぐらいの女の子が立っていて、おもむろに俺の顔に手を伸ばすと、そのまま掴んで俺は凄い勢いで壁に叩きつけられた。

 

何度も激しく叩き付けては押さえ付けられ、しまいには頭蓋骨が割れて後頭部が叩き付けられる感触が生々しく柔らかくなった事まで思い出した。

 

でも、この記憶も当然おかしい。

 

少女がマンションのベランダに侵入?

 

女子中学生に頭を割られる?

 

有り得ないだろう。

 

そもそも、北西に太陽が昇るとか、早朝5時に手を振る人とか・・・。

 

この時点で何かがおかしい。

 

現実的に考えれば、寝ぼけて勝手に転んだのだろう。

 

そして、変な記憶は錯乱した脳が勝手に捏造したんだ。

 

でも、それにしては血痕の位置が納得いかない。

 

本当は何があったのか?

 

何かに遭った俺にも何も分からない。

 

(終)

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