お骨は墓にあるのに仏壇に参るワケ
この話を姉にすると、「何それ・・・怖い」と言われる。
俺はちょっとばかり記憶力がいいらしく、例えば母親の胎内から生まれてきた時の記憶らしきものがある。
他にもこんな不思議な記憶も。
姉がじいちゃんの家で仏壇に線香をあげている時に、「なんで骨は墓にあるのに仏壇に参るんだろうね?」という事を言った。
それを聞いた俺は、「仏壇は窓なんだよ」と教えてあげた。
これを『魂』というのだろうか、前世の記憶なのかは分からないし、自分の前世が何者だったのかも知らないけれど、仏壇の向こう側、つまり向こうから見たこちらの世界の記憶が俺にはある。
その記憶によれば、俺はいつも誰かを見守るようにくっ付いていた。
いつもその人の背後にいた。
背後から見守る守護霊的なものだったのかもしれない。
その人の行く先々に付いて回っており、その人の事がとても大切なんだけれど、いつもその人の背後にいるせいで顔が見えない。
それが残念だった。
けれど、その人が仏壇の前に来てくれた時は、仏壇の内側からその人の顔を見ることができた。
それが嬉しかったという記憶はある。
話は戻るが、「だから仏壇には参らなきゃ」と姉に言ったら気味悪がられた。
ちなみにそのような窓は、仏壇だけでなく墓もそうだ。
最後に、前世の記憶はあっても、その自分が男だったのか女だったのかは分からなかったが、俺がついていた人が若い女性だったというのは覚えている。
また、前世の俺はどうやって、いつその仏壇の向こうの世界(生の世界)が終わったのかは、やっぱり分からない。
けれど、寿命で迎える死は怖くないという感覚は残っている。
(終)