奇妙な場所と地図に記された赤い点
これは、以前に体験した奇妙で不可解な話。
俺はバイクで、ソロツーリングで山間部を走るのが好きなんだ。
ある時に山肌にへばりつくような集落を見つけ、「凄い立地だなあ」と感心しながら奥へ奥へと走っていた。
すると、植林地の杉林の中の木に、2畳分くらいの『白い布』が結び付けてあった。
設置されてから結構な月日が経っている感じだった。
地図に記された赤い点
その布には墨絵でおっさんの泣き笑いのような顔が描いてあり、「気持ち悪いな・・・」と思っていたら、急に辺りがザワザワとしてきたような気がした。
実際には風が木々を揺らす音だと思うが。
俺は逃げるようにその場を去り、帰宅してから「あそこは何処だったんだろう?」と地図で確認すると、その辺りに”赤いペン先で記したような点”があった。
「なんだこれ?」と気になり、印刷のようにも見えるが違うような・・・。
その地図も酷使して痛んでおり、何か気持ち悪いしで、捨てて買い直すことにした。
見慣れている同じ地図を買い、件のページを見たが、当然だが特に異常はなかった。
ただ、次の朝にそのページを見ると、”赤い点”が同じ場所にある。
もの凄く怖くなった俺は、すぐに地図を捨てて、仏壇に手を合わせた。
それ以降、何か特別なことが起こったわけではないが、これは霊現象なのか?
もちろん、作り話ではなく実話だ。
あとがき
残念ながら、古い地図も新しい地図も捨てたので、そのページの画像をアップロードすることは出来ない。
また、記憶を頼りに同じ場所に行ってみたいような気もするが、何かもう触れてはいけないような気もして、実行はしていない。
「霊現象は悪い影響が出る」という話が多いように思うが、実際は私の場合は何の変化もない。
むしろ、それ以降はバイクを通じて新しい交友関係が出来たし、それも良い人達ばかりだから、あれは神様だったのかもしれない、という気さえもしている。
万一、「その墨絵のことを何か知っている人がいらっしゃるのなら由来など教えて欲しい」というのが正直な今の気持ち。
その場所は『吉野』という所だ。
(終)