怪奇な事がよく起こる峠の狐道
これは、とある峠での奇妙な話です。
その峠では昔からよく『怪奇な事』が起こります。
まずは祖父から聞いた話から。
昔に祖父がその峠越えをした時のこと、助手席に乗っていた祖母の気分が急に悪くなり、ゲエゲエと吐き戻したそうです。
車を止めてしばらく休んでいると、車の前を“2メートル近くある巨大な狐”がゆっくりと横切っていきました。
その狐が車のライトに照らされたせいか、目が真っ赤に見え、ちょうど鬼灯(ホオズキ)のような感じだったそうです。
そして次に、私が同じ場所で体験した話です。
学生時代、その峠をバイクで夜に越えた時でした。
そこは全くの一本道のはずなのに、何度も同じ場所に出て来るのです。(三度ほど)
気味が悪くなりつつそのまま進むと、いつの間にか前後に車が走っていることに気付きました。
少し安心した私は、ものすごく急な坂を上って頂上に達したところ、すぐ前を走っていたはずの車が忽然と消えていました。
慌てて後ろを見ると、後ろの車も消えていました。
この辺は地形が複雑で、そこが何処の県なのかがよく分かりません。
ただ一つ言えるのは、昔から『狐道』と言われる道が存在して、私が通った道はその道の一部だそうです。
聞くところによれば、伏見のお稲荷さんから豊川のお稲荷さんへ続く道らしいのですが・・・。
(終)