イタズラ程度の怪奇現象が頻繁に起こる

狐

 

これは、とある飲食店で起きている怪奇な現象の話。

 

私は”お茶漬け専門店”という、ニッチなお店で働いている。

 

ホール希望だったが、閉店後の夜勤に回された。

 

専門店のお茶漬け全てに言える事だと思うが、お茶漬けの米にはカビを付ける作業がある。

 

それは、『夜中に室温の管理をしながらダメなカビが発生していないか?を監視する』という、ちょっと変わった内容の仕事だ。

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何者かのイタズラ

ガラスの蓋を覗いて、ダメなカビがあればそのタライの米は全部捨てる。

 

ちゃんと発酵しているものは、カビを綺麗な水で洗い流してから店に出す。

 

この工程のおかげで、1杯2千円でも売れるのだ。

 

さらさらっと胃に流し込んでしまえるほどの良い米になる。

 

しかしある時から、洗い流す工程の際にだけ起こる異変に気付いた。

 

エプロンの結び目を解かれたり、頭のタオルを落とされたりするのだ。

 

それが何日も続くものだから、大将(社長)に相談したところ・・・。

 

「そりゃ、狐やろ。この辺は昔は山やったからな。狐くらいおるわな」

 

「えー?でも音もしませんでしたし・・・」

 

「生きとるもんじゃないからな、うまくやれ。台所にお揚げさん置いといてやるわ」

 

「えぇ・・・それだけですか?」

 

「騙された思うて1週間頑張ってみ。あんまり気になるならホール任せる。ほんまはホールは女がええけどな」

 

だが、次の日からパタリと異変がなくなった。

 

でも、お揚げさんが減っている様子もなく、もったいないので毎日味噌汁に入れて食べている。

 

大将に聞いたところ、「食ってもいい」と言うので。

 

あとがき

大将はそれだけ詳しいのに、どうしてもっと前からお揚げさんを置いておかないのか?

 

そもそも、私がいる時にだけその異変が起こるのか?

 

地上の何処でも、過去に何かしらの人や動物が死んでいると思うが、なぜ狐だと分かるのか?

 

これはその根拠にならないかもしれないが、狐という生き物はすぐに何処かへ行くそうだ。

 

店を立ち上げた当初にもそういう事があったらしく、大将の母親に聞いたところ、「食い物を供えないと、なかなか何処かに行かない」という話だったらしい。

 

ちなみに、カビを付ける作業を気になる方は『コウジカビ』の検索結果を参考に。

 

(終)

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