廃屋にいた先客の怪談会に耳を澄ますと

廃屋

 

これは、祖母から聞いた話。

 

祖母は昔、相当なお転婆だったそうで。

 

女学校時代は篭球部(バスケ)の主将を務め、袴姿で張り切っていた。

 

そんな祖母がある日、部の友人と“怪談会を計画”する。

 

しかし、ただ話をするだけではツマラナイと、近所の山の麓にある『廃屋』で行うことにした。

 

しかも、親の目を盗んで夜に集まったというから驚く。

 

参加者は4名。

 

件の廃屋に着くと、真っ暗な家の中から話し声がした。

 

見つかるとマズイと思いつつ耳を澄ますと、どうやら先客も怪談会をしているようだった。

 

「・・・・・・・・・」

 

「4人は化物に食べられて・・・」

 

驚いたことに、その声は間違いなく“自分の声”だった。

 

さすがの祖母も、この時ばかりはすぐに引き返したという。

 

考察

自分の声というのは、喋っている時と機械に吹き込んだものを聞くのとで、なぜか違うような気がしないだろうか?

 

そもそも、その時代では録音機の類は無かっただろうから、廃屋から聞こえた声が自分の声とは気づかないのではないだろうか。

 

一緒にいた友人が気づいたならわかるが。

 

自分の声というのは、空気の振動から耳で聞こえるものと、骨の振動で伝わるものとが合わさるので、空気の振動のみで聞こえる声、つまりは「他人が聞いたり録音した声と、自分自身で認識している声はかなり違う」というのを聞いたことがある。

 

ただ喋り方の癖などで、意外と自分の声だとわかるのかもしれない。

 

(終)

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