ついさっき幽霊を見たかもしれない
ついさっき、『幽霊を見た』かもしれない。
それは5時間くらい前のこと。
凄い雨が降っている中、6人ほどの集団が歩いていた。
場所は都内のごくごく普通の道。
私は帰宅途中で、もちろん他の歩行者もいた。
その集団は、子供2人と大人が4人。
子供は2人とも小学校低学年くらいで、大人4人は30~40歳くらいだろうか。
そして子供のうち一人が傘を差していなく、ちょっと小走り気味で何か浮かれたような歩き方をしていた。
結構なドシャ降りの雨だったので、私はその子を見て驚いた。
傘を差していないのはすぐに気づいたし、だからと言ってカッパも着ていなかった。
服装は普通で、靴も長靴ではなかった。
当然、その子は雨でズブ濡れの状態。
髪も服も、明らかに濡れていた。
ただ、他の5人がそのことを全く気にしていない様子に、何となく違和感を覚えた。
他の5人は皆が傘を差していたにもかかわらず、誰もその子を傘に入れようとも注意しようともしていなかった。
イジメや虐待か?と一瞬思ったが、そのズブ濡れの子は比較的陽気な感じで歩いていたし、表情も楽しそうだったので、そうではないのかな?と。
ただやっぱり私は、小さい子をあそこまで濡れているのに放置しているのはおかしいなという印象だけを持って帰宅した。
家に着くと、母からこんなことを聞かされた。
私がちょうどズブ濡れになっている子を見た場所で、その日の昼頃に交通事故があって女の子が亡くなってしまった、と。
そんな話を聞いて、ひょっとしてあの女の子って…と思った。
ちなみに、事故があった時間帯には雨はほとんど降っていなかった。
それなのに、私が見た子供は明らかにズブ濡れだった。
幽霊でも雨に濡れるのかな?
(終)