無縁仏に手を合わせてからの異変
以前、とある博物館へボランティアに行った。
そこは海沿いにある小さな博物館で、夏休みに体験教室等をたくさん開くのでそれを手伝う為に。
ボランティア2年目の時に1泊2日で行ったところ、ボランティア担当の学芸員さんが心霊スポットに連れて行ってくれた。
それはすぐそばの山で、10分も登ると展望台があり、以前に首吊り自殺があったという。
テレビが勝手に消える
ボランティア4人と学芸員さんで登り、一人怖がりな人を脅かしながら楽しく山を登った。
結局、『出る』と噂の展望台でも橋でも何も起きなかったが、戻る途中で一つやらかした。
地蔵と間違えて無縁仏に手を合わせてしまったのだ。
怖がりな人が小さな懐中電灯で照らし、地蔵と思って行動したのに釣られて。
地蔵のようなものの後ろには、たくさんの無縁仏があった。
しかし、学芸員さんは「ダメだよ」と言いながらも笑っていたし、その後は浜辺で海ほたるで遊んだりしてそのことは忘れてしまっていた。
次の日に帰宅した時、他の家族は夕飯中で、「ただいま~」と言いながら居間を横切るとプツン・・・とテレビが消えた。
それはその晩もう1回、翌日も3回ほど起き、テレビは古かったので壊れたかな?と思った。
翌々日から1週間、また出掛けて帰ってきてからも、テレビを見ていると時折電源が落ちた。
しかし家族が言うには、私がいない間はそんなことは起きなかったらしい。
私が在宅の時のみに、それが起こるのだと。
ひと月もするとその現象は起きなくなり、そのテレビはずっと問題なく使っている。
ただ一度だけ、その時期に電源が落ちたテレビの主電源を入れた時、黒いブラウン管に映った自分の後ろに誰かが居た気がした。
後ろに居たものは、私が零感だったからどこかへ行ってしまったのか。
くれぐれも無縁仏にはお気をつけて。
(終)