沖縄ではユタに頼るのが習慣になっている
私は沖縄県の出身だ。
これは、その沖縄にまつわる少し不思議な話。
沖縄では『医者半分、ユタ半分』という言葉があるくらい、少し嫌なことが続いたり、体調を崩したりすると、ユタの所へ行くことが今でもある。
※ユタ
沖縄県と鹿児島県奄美群島の民間霊媒師(シャーマン)であり、霊的問題のアドバイス、解決を生業とする。(Wikipediaより)
また、人が亡くなるとユタを頼んで、「ちゃんと葬儀に満足した?」などと、亡くなった本人に聞きに行くのもなんとなく慣習になっている。
あのユタはダメだ
うちの祖父母は10人の子供を生んだのだが、三男(私から見ると伯父さん)は生まれてすぐに亡くなってしまったらしい。
それが戦前のこと。
少しうろ覚えなのだが、あまりに幼く亡くなってしまった子は一族のお墓に入れてあげることが出来ず、屋敷の敷地内に別のお墓を作ってそこに納めてあげる決まりなのだそう。
祖父達も、近所のユタを呼んでその儀式を行ってもらったのだが、儀式後に祖父が変な顔をしているので祖母が尋ねたそうだ。
祖母「どうしたの?」
祖父「あのユタはダメだ。拝みが届くわけがない」
祖母「どうして?」
祖父「僕は耳が良い。ユタの拝み言葉を聞いていたら、「ぐんぼー(牛蒡)、どぅーぶに(胴骨?)」って、ご馳走の種類を言っているだけだった」
沖縄にはユタは多いが、インチキなユタも多い。
でもインチキだ!と言い切れるような確証もないので、そのままに。
それから40年程が経ち、祖父が亡くなってからのこと。
納骨も終わった頃、ユタを通して亡き祖父が言ったことはこうだった。(前出のユタとは別の評判の良い人)
「うちの墓の傍まで子供がハイハイして来るんだけど、そこから中に入れないみたいなんだ。あれはうちの小さいの(三男)だと思うんだが、抱っこしてあげたいのに出来ない。なんとかしてくれないか」
やはり40年程前の拝みが届いていなかったか・・・ということで、三男の為の拝みをやり直してもらった。
それからしばらくした頃に同じユタの所で、亡き祖父が「抱っこ出来たよー」と嬉しそうな姿が見えたという。
これもやはり、霊感の無い私にはどちらが当たっているとは分からないが、祖父と伯父さんが幸せそうな方を信じている。
(終)