亡きお爺ちゃんに墓前でお願いしたこと
これは、私の兄と一緒に体験した話。
私は心霊体験などをしたことはないけれど、兄には霊感があるよう。
去年のこと、叔父さんの一家が車にガソリンをまき、火をつけて心中した。
心中の原因は叔母さんの作った借金だった。
そして私たち兄妹は、その叔母さんが大嫌いだった。
兄の夢の中で
葬儀が終わって49日が過ぎた頃、兄が私に電話をしてきてこう言った。
「あのクソババァ(叔母さん)、おめおめ俺の夢に出て来やがったから殴り飛ばしてやった」
その3日後、私の夢にも叔母さんが出て来た。
嫌な目つきで、ジラ~っとこちらを見ていた。
それに、叔母さんの右の頬が腫れていた。
後で兄に「左手で殴らなかった?」と聞いてみると、「よく分かったな~」と関心していた。
ちなみに、兄は両利き。
それ以来、叔母さんは私たちの夢に出て来ていない。
そして叔父さん。
叔父さんたちが亡くなって丸1年。
実家に近い所に住んでいる兄は、お墓参りに行ったそう。
そして墓前に手を合わせ、亡きお爺ちゃんにこうお願いした。
「爺ちゃん、クソババァはどうでもいいけど、叔父さんだけはどうか連れて行ってくれないかなぁ」
お爺ちゃん子だった兄は、その夜に夢を見た。
そこには、お爺ちゃん、癌で亡くなった親類の大工さん、その大工さんのお父さん、小さい頃に兄を可愛がってくれた親しい親類の人たちが勢揃いしていた。
中には知らない顔もあったらしいけれど、その中に所在なさそうにして心中した叔父さんがいた。
「こいつぁ、ウチらがちゃーんと連れて行くから安心しれや」
お爺ちゃんはそう言ってくれた。
この話を電話で聞いた翌日、兄からまた電話があった。
「昨日、叔父さんの知り合いだっていう人が夢に出てきて・・・」
そしてこんな話をしたそう。
「○○さん(叔父さん)、いないかね?」
「あぁ、うちの叔父さんなら昨日、爺ちゃんたちに連れられて行っちゃったんだけど」
「そうかぁ。まだいたら一緒に行こうかと思ったんだけどもねぇ」
そう言って、その人は消えていったと。
それを聞いた私は、「誘ってくれる人がいるだけイイじゃない」と言った。
それらからしばらく経った頃、叔父さんの家の遺品を片付けている時にアルバムが出てきた。
なんとなく兄と一緒にめくって見ていたら、兄が手を止めた。
そして、「あ、俺の夢に出てきた人」と言う。
叔父さんの社員旅行らしい写真に、その人はいた。
母に写真を見せながら、「俺が会ったの、この人だよ」と兄が言うと、母の顔がみるみる凍りついていった。
実はその人、会社を辞めた後に首吊り自殺をした人だったそう。
一体叔父さんを何処に連れて行こうとしたのかは分からないけれど・・・。
(終)