気づけば10センチほど開いている襖
以前に住んでいた所での話。
子供が産まれてすぐに引っ越した家は、2LDKで日当たりも良く、雰囲気も最高だった。
当然、“霊がいる”など考えも及ばず、その類は全く信じていなかった。
ある日の日中、和室の寝室の襖が10センチほど開いていることが妙に気になった。
ついさっき干していた布団をしまったばかりで、しっかり閉めたはずだったのに。
でも勘違いなんて良くあること。
子育てにばかり気がいって、つい中途半端にしてしまったんだと気にせずにいた。
また忘れた頃に、同じように襖が10センチほど開いていることが何度かあった。
だけど気のせいにしていた。
霊なんて全く信じていないので、自分が疲れすぎて勘違いが増えたのだと思い、その事に不安を感じた。
無意識に毎回10センチほど閉め忘れるなんて変だな・・・と。
なので、ある日に再び10センチ開いていたのを見つけた時、声に出して「はい、今閉めた。よし、閉めた」なんて独り言と共に、指差し確認をしてしまった。
ちょっと恥ずかしいことをしたな、などと一人で照れながら子供の元へ向かい、抱っこして振り返ったら襖が全開していた。
(終)