捨てられていた金庫を撮ってから
これは、2017年4月に体験した実話です。
私は、やや田舎の方に住んでいるのですが、免許も無いので最寄りのコンビニへ行くのは常に徒歩です。
それにコンビニへ行くためには、30メートルくらいの森のトンネルのような所を通り抜けなくてはなりません。
そこは造られたトンネルではなく、木々が生い茂って出来たトンネルのようなものです。
週に3日ほど通る道なので見慣れたものでしたが、ある日のこと、トンネルの真ん中あたりの原っぱに『金庫』が転がっていました。
金庫は鍵がかかっているのか、開いていませんでした。
その日は何もせずに通り過ぎましたが、2週間ほど経ってもまだそこに置き去りにされていました。
謎の高熱に冒される
妙に思い家族にそのことを話すと、「金庫なんて本当にあるのか?」と言われたので、私は「証拠に写真を撮ってくる」と言い、翌日に写真を撮りました。
駅とコンビニは逆方向なので、家族は木々のトンネルを通ることはなく、あの金庫の存在を知らなかったのでしょう。
さっそく撮った写真を家族に見せて「不気味だよね・・・」などと話した次の日、私と画像を見た家族は原因不明の熱を出しました。
4人家族で唯一画像を見ていない家族の者は、熱もなく元気でした。
私はすぐに熱が42度になって病院へ行きましたが、これといった病気は見つかりませんでした。
金庫の画像を見た他2人の家族も、38度前後の熱が出ていました。
3日もすれば治ると思っていましたが、7日経っても熱は40度前後を行ったり来たり・・・。
血液検査も問題なく、インフルエンザでもありませんでした。
時折、首を締められるような感覚に襲われましたが、扁桃腺の腫れのせいかなと思っていました。
今にして思えば、髪で首をグググと締められているようでした。
そして首には、無意識に自分で引っ掻いた無数の傷が出来てしまいました。
熱でふわふわとした意識の中にふと浮かんできたのは、件の金庫の画像でした。
「そういえば、あの写真を撮った次の日から熱が出たな・・・」と思い、画像を消したその瞬間、四六時中感じていた悪寒が少しだけ楽になったのです。
そして次の日、嘘のように熱が下がり、残ったのは寝たきりで弱った身体の節々の痛みだけでした。
もしかして、あの金庫はヤバイものだったのでしょうか?
画像を消してからすぐに具合が良くなるなんて、あまりに都合が良すぎないでしょうか?
それからしばらくは少し離れた別のコンビニへ通っていましたが、ふと3日前に通ってしまったのです。
金庫は、まだそこにありました。
ただ以前と違うのは、金庫がこじ開けられていたことです。
写真を撮ってそれを見ただけでも悪影響があったのに、こじ開けた人がどうなったかなんて考えると末恐ろしい・・・。
(終)