友人ユカの不可解な写真事件
これは、友人のユカの体験話です。※仮名
ユカが彼氏と同棲していた時のこと。
二人は南麻布のマンションに住んでいました。
ユカも彼も夜の仕事の人で、当時OLだった私は休みの前の日になど六本木の彼女たちの店に行き、店が終わるまでタダ飯と酒を飲んでいたりして、そのまま彼女らのマンションに泊まりに行っていました。
ある日、ユカから珍しく朝っぱらから会社に電話があり、「ちょっと見てもらいたいものがあるから帰りに店に来てよ」と言うのです。
その日は平日だったことで、「行ってもいいけど、ご飯食べて帰るよ~」と言うと、「それでもいいから来て」と言うので会社帰りに寄ってみました。
美味しいタダ飯が食べられるから、ぐらいの気持ちで。
そこで、つい先日に撮ったという『写真』を見せてもらったのです。
店で撮ったものや、何枚かは彼女らのマンションの前で撮ったものなど。
その中の一枚に…。
ユカが彼に貰った大きなぬいぐるみを抱えた一枚に、いるはずのない女の人が写っているのです。
ユカの頭の上に、大きなツバのついた帽子を被った女の人が浮かんでいました。
「何これ?心霊写真じゃん!」
ちょっと面白半分でしたが、この写真を撮ってから彼があまり家に帰って来ないので「怖いから今日は泊まりに来てよ」と言われ、仕方がないので店が終わるまで待っていました。
マンションに着き、しばらくビールなんか飲んで寛いでいたら、突然「うおぉー」という感じの叫び声が響きました。
私は「ひゃあ!」とビックリしたのに、ユカは何にも聞こえなかったと言います。
ただ、あの写真は封筒に入れて窓の所に置いていたのですが、なんだかその写真から聞こえてきたような気がして…。
「ねえ、もう一度あの写真、見てみようよ」
そう言うと、ユカは躊躇いながらも封筒から出してきました。
すると、ちょっと前に見た時よりも女の人が鮮明に浮き出ているのです。
帽子のツバに花のような飾りまで見え、顔も目がより開いてきて、口も開いていました。
その日は結局泊まることになり、二人で抱き合うように寝ました。
そして次の日の朝、写真をまた見てみました。
今度はそれまで何にもなかった後ろの壁から、ユカが抱っこしているぬいぐるみの胴体にも、ドクロのような顔がたくさん浮き出るように写っているのです。
さらには着物を着たお婆さんのようなものまで。
昨日までは確かにそんなものは写っていませんでした。
それにその女の人は、まるでカラー写真のように真っ赤な口紅を塗って口を大きく開き、目も化粧がばっちりで大きく見開いています。
もうユカの写真なのか、その女の人の写真なのかわからないくらいにはっきりと。
その写真は多分もうありません。
供養したのですが、それがまた大変でした。
焼いても焼いても燃え切らず、カスが残るのです。
それにこれはユカが言っていたのですが、燃やしたはずなのに店から帰って来るとまたテーブルの上にあったそうです。
結局、最後はプロの手に委ねました。
今は前ほどユカと親しくないのですが、あの写真の話はタブーになっています。
(終)