登山中の雨宿りで出会った女性が

山は、こりごりだ。

 

随分と昔の話になるが、

ある山に登った。

 

実名を出すと、

 

色々記録が残ってるので

よろしくないため、

 

すべて伏せさせてもらう。

 

下山途中、

 

雨に降られ、適当な雨具を

持たなかった俺は、

 

山腹の土手がえぐられているような

場所を見つけ、

 

そこで雨をやり過ごそうと、

腰を下ろした。

 

多少、降り込んでは来るが、

 

一時の雨宿りには

十分な場所だった。

 

予想に反し、

 

雨は降り続き、

霧さえ出てきた。

 

「こんなとこで野宿かよ・・・」

 

もうすっかり日も落ちて、

辺りは暗くなり始めていた。

 

目の前の景色は、

山肌と木のみ。

 

気色が悪い。

 

カロリーメイトをかじりながら、

 

シートに寝転がって

ラジオを聞いていると、

 

誰かが前を通りかかった。

 

時間は、

22時を回ったところ。

 

「道がグチャグチャで危ないですよ!」

 

声を掛けてみた。

 

軽く会釈をして

こっちに入って来た風貌は、

 

年の頃なら二十歳ぐらいか。

 

でもなぜ若い女が夜の山を

ふらふら歩いてるんだ?

 

「懐中電灯とか無いんですか?」

 

「・・・」

 

「今降りるのは危ないですよ!」

 

「・・・」

 

「明るくなるまで待った方が

いいですよ!」

 

「・・・」(一応うなずく)

 

ヒールにスカートとかだったら

何だか変だとも思っただろうが、

 

一応、俺なんかより重装備の

登山ルックなので、

 

それ以上の不信は

持たない事にした。

 

何を話すでもなく、

 

下を見続けている彼女に

聞いてみた。

 

「一人で?」

 

「・・・」(首を横に振る)

 

「他の人は?」

 

「上で落石がありました」

 

俺(おー、やっと喋った!)

 

「ケガ人は出たのですか?」

 

「・・・」

 

その一言を最後に、

また沈黙が続いた。

 

朝になっていた。

 

彼女は知らないうちに

出発したらしい。

 

下山途中に、

 

レスキューだか警察だかと

すれ違った。

 

ヘリも飛んでいた。

 

麓の食堂が開いてたので、

飯でも食おうと入った。

 

客同志の会話は、

 

昨夜、彼女の言っていた

落石の話題でもちきり。

 

「全員ダメだってよ」

 

外から入ってきた客が言った。

 

テレビのニュースがタイミング良く、

この話題を流していた。

 

大学のパーティー全員死亡とか。

 

公開されたパーティーの顔写真の中に、

昨夜の彼女の顔があった。

 

俺はそれ以来、

山には行けない・・・。

 

(終)

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