山での昼寝中に起こされたものの

山

 

これは、山仲間から聞いた奇妙な体験話。

 

彼は登山だけでなく、渓流釣りも趣味としている。

 

山に登る時には釣り道具も持ち、ポイントを見つけると釣りをする。

 

ある時、何度か入った山で、とても綺麗な渓流を見つけた。

 

「これだけ水が綺麗なら大物がいるかもな」

 

そう思った彼は、さっそく釣り糸を垂らすと、面白いように釣れたそうで。

 

釣果に満足し、その場で火をおこし、一人で昼間から魚を焼きながら酒盛りを始めた。

 

とても気持ち良くなり、山で昼寝をすることに。

 

しばらくして、誰かに肩を揺すぶられながら「いびきがうるさいぞ」と起こされた。

 

他にも人がいたんだろうか?と思いつつ、「あ、すみません」と謝りながら目を覚ますと、誰もいない・・・。

 

さっきまで肩を揺すられていたはずなのに、辺りを見回しても人のいた気配はなかった。

 

気味が悪くなり、後片付けをすると早々に下山した。

 

「あの山、何度か行ったけど、変な体験したのは初めてだ。気味悪い」

 

そう言いつつも、今でも山で釣っては飲んで、昼寝するのはやめられないそうで。

 

(終)

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