写真に写ったものが変わっていくにつれ

手

 

もう10年も前のことです。

 

サッカー部の高柳君と川島君は

とても仲が良くて、

 

いつもまるで双子のように

息が合っていました。

 

勉強も体育も、

 

1位と2位は絶対に

この二人のどちらかでした。

 

当然、

二人はクラスの人気者で、

 

二人が学校を休んだ時は、

 

まるで火が消えたように

寂しかったものです。

 

私は女子でしたが、

 

同じサッカー部で

家が近かった事もあり、

 

二人とはよく一緒に

遊びました。

 

私自身、

それが誇らしかったのです。

 

チビで身体も弱く、

 

勉強だってソコソコ

といった程度の私には、

 

この二人と一緒にいられる

というのは、

 

それだけで他の人たちに対して

優越感に浸れたのです。

 

これは、たしか

小学3年の時のことです。

 

私たちは近所の小川へ、

釣りに出掛けました。

 

(今は区画整備で埋められて

無くなっています)

 

当時の私は、

 

誕生日の時に父にねだって

買ってもらったインスタントカメラを、

 

いつも肌身離さず

持っていました。

 

その時も、

カメラを持って行った私は、

 

二人を撮ってあげることに

したのです。

 

今にして思えば、

 

あの時に写真なんて

撮らなければ・・・

 

カメラなんて持って来なければ

あんな事にはならなかったのに・・・。

 

家に帰って、

撮った写真を見ていると、

 

あることに気が付きました。

 

それは、

 

高柳君と川島君が

並んでいるところを

 

撮ったものでした。

 

川島君の右腕の少し下、

 

川の水面に、

 

人の目のようなものが

写っていたのです。

 

当時の私は心霊写真という

言葉は知っていましたが、

 

まさか自分にそんなものが

撮れるとは思っていなかったので、

 

気味が悪いな・・・

とは思ったものの、

 

特に気にも留めませんでした。

 

サッカー部の練習の時に

川島君が右腕を怪我したのは、

 

それから何日か経った頃でした。

 

市内の小学校数校で行われる

大会の最中に、

 

ボールが腕に当たって

骨折してしまったのです。

 

川島君は入院することに

なりました。

 

私は妙な胸騒ぎを覚え、

 

家の机の引き出しから

あの写真を出して、

 

もう一度見てみたのです。

 

すると、

 

写真は前に見た時とは

全く様子が違っていました。

 

水面から顔を出した

小さな男の子、

 

その目は確かに、

 

水の中から伺っていた

あの目でした。

 

そして、

その男の子の手は、

 

川島君の右腕を

掴んでいたのです。

 

怖くなった私は

高柳君の家に電話し、

 

来てもらうことにしました。

 

その写真を見た高柳君は、

 

「川島に見せたら

ショックを受けると思う」

 

と、このことを川島君に

言わないことを私に約束させ、

 

その写真を持っていきました。

 

そして・・・

 

高柳君が写真を持って

行ってから3日後・・・

 

だったと思います。

 

川島君が亡くなりました。

 

病室から飛び降りたのです。

 

クラスの中には、

 

飛び降りた日に川島君の所へ

お見舞いに行った人がいました。

 

その人は、こんな事を

言っていました。

 

川島君はしきりに、

 

「あいつが来る!」

 

と呟いていたと。

 

先生や川島君のお母さんは、

 

入院生活のストレスのせいだ

と説明してくれましたが、

 

川島君が死んだ

本当の理由は・・・。

 

ある日、高柳君の家に

呼び出された私は、

 

あの写真を見せて

もらいました。

 

といっても、

 

そこにはもう、

あの男の子はいません。

 

写真はハサミで半分に切られ、

 

写っているのは

高柳君だけでした。

 

「自分の方にもあいつが

来そうだったから・・・」

 

と高柳君は説明しました。

 

川島君が死んだ時には、

 

男の子が川島君の体に

覆い被さるようになっていた、

 

と言っています。

 

「なんでもっと早くに

切ってあげなかったの?

 

そうすれば川島君だって・・・」

 

私は思わず声を荒げて

しまいました。

 

すると、

高柳君はこう言いました。

 

「だって、あいつがいると俺は

1番にはなれなかったから・・・」

 

夕陽に照らされた高柳君の顔は、

あの男の子そっくりでした。

 

(終)

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