家の壁に向かって立っていた男の子

一軒家

 

中学生だった夏の頃の話。

 

晩飯を食い終わり、

階段を上って部屋に戻る途中、

 

廊下の窓からふと隣りの家を見たんだ。

 

(隣りといっても、

空き地を挟んだ先に建っているので、

 

ウチから50メートルほど離れている)

 

もう陽は落ちていたけど、

 

わずかに残る明るさの中、

その家の軒下に、

 

短パン姿の小さな男の子が

立っているのが分かった。

 

俺に背を向け、

その家の壁と向かい合わせで。

 

なんというか棒立ちで、

 

ドアも窓も無いただの壁の所に立って

微動だにしない。

 

『どこの子だ?

こんな時間になにやってんだろ?』

 

と、しばらく見てたんだけど、

 

「おーい、○○(俺)

今週のジャンプは?」

 

兄が居間から俺を呼んだので、

その場を離れた。

 

まだ読みかけのジャンプを兄に奪われ、

 

戻ってきた時には、

その子はもう居なかった。

 

『空き地で遊んでいて、

転がったボールを探していたんだろ』

 

ぐらいにしか思わなかった。

 

その事はしばらく忘れていたんだけど、

 

それからひと月後ぐらいに

兄とだべっている時、

 

ふとその日の事を思い出し、

何気に兄に話した。

 

さっきまでヘラヘラしていた

兄の表情が一変し、

 

そして悲しげな顔で、

 

「そういえば、お前まだ小さかったし、

教えてなかったしな・・・」

 

と昔の話をしてくれた。

 

隣りの家にはユウちゃんという

男の子が一人いた。

 

ユウちゃんは俺の兄の一つ下で、

兄とユウちゃんはいつも一緒に遊んでいた。

 

(兄と俺は4つ離れていて、

 

当時1歳だった俺は、

遊び相手にはならなかった)

 

でもユウちゃんは交通事故で

死んでしまった。

 

道路の向かい側に自分の母親を見つけ、

 

思わず飛び出して車に撥ねられ

即死だったとのこと。

 

兄もかなりショックで、

相当泣いたらしい。

 

ウチの家族もそんな兄を想い、

ユウちゃんの話はずっと伏せていたので、

 

俺は一切知らなかったという訳だ。

 

俺があの日に見たその子は、

特徴から「絶対、ユウちゃん」とも言った。

 

でも俺には一つ疑問がある。

 

どうして何もない壁の方を向いていたのか?

 

「ああ、それもさ・・・

お前は覚えてないだろ。

 

あの家、それから改築したのよ。

 

玄関が分からなくなって、

きっと入れないんだな。

 

可哀相に・・・」

 

俺が見たユウちゃんが立っていた場所は、

ちょうど改築前は玄関の位置だったそうだ。

 

霊感ゼロと思われていた俺の、

唯一の霊体験でした。

 

(終)

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