病室から見える景色と二人の患者

病室

 

ある病室には、

 

二人の末期ガンの患者が

入院していた。

 

一人は窓側のベッド、

もう一人はドア側のベッド。

 

二人とも寝たきりの状態だったが、

 

窓際のベッドの男はドア側のベッドの男に、

窓の外の様子を話してあげていた。

 

「今日は雲一つない青空だよ」

「桜の花が咲いたよ」

「ツバメが巣を作ったんだ」

・・・・・・

 

そんな会話のおかげで、

 

死を間近に控えながらも、

二人は穏やかに過ごしていた。

 

そしてある晩のこと、

 

窓際のベッドの男の様態が

急変した。

 

自分でナースコールも出来ないようだ。

 

ドア側の男はナースコールに手を伸ばしたが、

ボタンを押す手を止めた。

 

「もしあいつが死んだら、

自分が窓からの景色を直接見れる・・・」

 

どうせ、お互い先の無い命。

 

少しでも安らかな時を過ごしたい

と思ったドア側のベッドの男は、

 

自分は眠っていたということにして、

窓側のベッドの男を見殺しにした。

 

窓側のベッドの男は、

そのまま死亡した。

 

晴れて窓側のベッドに移動した、

ドア側のベッドの男が窓の外に見たのは、

 

打ちっ放しのコンクリートの壁だった。

 

(終)

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