バレンタインデーにあった変な体験
私は塾の講師をやっているのだが、
生徒が「変な体験をした」という。
それは、
2月14日のバレンタインデーの朝だった。
登校するのに通学路を歩いていたら、
いつもすれ違う他校の女子生徒から
いきなりチョコを渡され告白されたそうだ。
(顔だけしか知らないらしい)
私の生徒も”女の子”だから相当ビックリして、
返事は「次の日に・・・」と曖昧にした。
そして、知らない人から貰ったものは、
たとえ同性でも”ちょっと怖い”ということで、
そのチョコも食べなかったそうだが・・・
その夜のことだった。
明日どうするかなと思案するうちに
寝てしまったそうだが、
夜中にふと目が覚めると、
襖がガタガタと動いていたという。
(和室に一人で寝ているらしい)
しばらくすると襖が少しだけ開き、
常夜灯に照らされたその隙間からは
一本の指が出てきた。
次いで他の三本の指もモゾモゾと出てきて、
襖の縁に四本の指を掛けた。
直感的に「朝の女の子だ!」と思ったそうだが、
なんかだ無性に腹が立ったらしく、
指を睨み付けながらありとあらゆる暴言を
心の中で唱え続けたそうな。
しばらくすると指は居なくなるどころか、
ゆっくりと襖を開け始めた。
彼女はその時になって初めて恐怖を感じた。
そうして襖は10センチほど、
奥の暗闇に潜んでいるであろうモノが
見えるか見えないかぐらいまで開く。
とうとう彼女は意識を失い、
気付いたら朝だったそうだ。
なんとなく気分が優れず仮病を使うが、
少し気分が良くなったということで
三時限目から登校した。
例の女の子には出会わなかったが、
明日からどうしようと笑いながら話してくれた。
しかし次の日以降、
チョコを渡してきた女の子には
一度も会わないという・・・
(終)