赴任先の中国で見聞きした出来事
私は今、仕事のため中国に住んでいますが、そこで見た事や体験した事をお話します。
近所の天使像
住んでいるアパートから歩いて5分ほどの所にあるボロ住居の前に、高さ60センチくらいの石膏製の天使像が置いてあった。
そこそこ見栄えのする像だったが、なんとそこの住人は「汚れたモップ干し」として使用していた。
上品な天使と、その頭に掛けて干されている汚いモップが、なんともいえないコントラストを醸(かも)し出していた。
ところが、3年ほど前から天使像に「異変」が発生。
両目から血の涙のような跡が付くようになった。
天使の膝元に子供がいるデザインなのだが、子供の両目からも血の涙を流した痕跡がある。
そして、日増しにその量は増え続け、天使と子供の顔はもはや血まみれといった有様だった。
日本人なら目を覆いたくなるような状態の像だったが、そこは中国人・・・。
何も気にしていないようだったが、モップ干しの張本人と思われる掃除係のばあさんが突然発狂し急死してから事態は急展開。
ボロ住居の主人が誰かに、「こんな不吉な像は捨ててしまいなさい」と忠告されたらしく、即日天使像は首を叩き折られて近くの畑に廃棄された。
今でもその像は畑に捨てられたままだが、以前にも増して嫌な雰囲気を漂わせている。
自室のテレビ
ある日、自室に置いてあったテレビがバチッと音を立てて画面が映らなくなった。
中国のテレビ番組は言葉がまったく分からないため、DVD鑑賞専用に使っていたものだ。
ところが、映らなくなった画面を改めて見てみると、「ひとつの大きな手形」が付いていた。
しかも形が不自然と思ってよく見てみると、指の数が全部で8本あった。
手形を写真に撮影した後、雑巾で拭き取ったが、何か油のようなものが凝り固まった後のような手形で、力を入れて苦労して綺麗にした。
自分の部屋にこんな妖怪みたいなのがいたなんて、自分でも信じたくない。
嫌な色のマンション
同じ中国在住の日本人同僚の知人がマンションを買ったと聞いた。
同僚いわく、「安かったけど、でも何かすごく変な色のマンションなんだよね」という。
同僚は知らなかったが、実はそのマンションの事情を私は知っていた。
そのマンションは昔、中国の文革時代の「処刑跡地」に建てられた物件らしい。
当初はまともな色合いの物件だったが、その後マンション内のあちらこちらで幽霊騒動など怪事が相次ぎ、挙句の果て、変死者や自殺が多発するようになって風水師に相談したらしい。
その苦肉の策が、何とも言えない強烈かつ嫌な色でマンションを塗り潰し、色の呪力で怨霊を抑えるというものだった。
その事実を同僚に教えてあげたのは言うまでもない。
(終)