墓の上に建てられた留置場にて
とある留置場には“幽霊が出る”らしい。
ある警察官が留置場に詰めている晩、天井から聞きなれない靴音がした。
職業柄、ハイヒールの音と分かるが、そんなわけはない。
気にはなるが持ち場を離れられないのでひたすら無視し続けていると、やがて音は止んだ。
ほっとしたのも束の間、ふと顔を上げると、半開きになったドアから子供がこちらを覗いている。
警察官はしばらく子供と睨み合いを続けていると、子供はドアの向こうへ引っ込んだ。
そして、またハイヒールの音が。
それを一晩繰り返していたらしい。
警察官いわく、「気味は悪いが実害は無い。むしろ、ここで逃げたら上司が怖い」という。
可哀想なのは拘留されていた人達だ。
本気で生きた心地がしなかった・・・とか。
墓の上に建てられたと言われるその警察署は、後日に改めて御祓いをしてもらったそうだが、効果の程はあまりなかった。
それでも実害は無いため、今でもそのままだという。
(終)
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