病院にはいわくつきのベッドや部屋が存在する

病院

 

誇張はあるが本当の話。

 

先日、お世話になったお医者さんや看護師さんたちへ御礼を言いに、菓子折りを持って病院へ出かけた。

 

すると、ナースセンターが騒がしい。

 

覗いてみると、車椅子の少女とその母親らしい人が看護師長と話をしていた。

 

「本当にあのベッドで亡くなった方はいないんですね?あの現象は・・・じゃあ無害なんですね?」

 

母親はかなりの勢いで詰め寄っているし、娘は泣いている。

 

(・・・ははあ、あのベッドだな)

 

私は納得した。

 

すると、看護師長が私の顔を見つけるや、こっちに駆け寄り、私の腕を引っ張った。

 

「ほら、この人ですよ。あなたの前にあのベッドを使っていた人」

 

私は軽く頭を下げる。

 

母娘の不躾な程のジロジロと見る視線に、苦笑がこみ上げる。

 

「ほら、こんなに元気になって退院して」

 

師長の言葉に、私は言葉を合わせる。

 

「今日はちょっと、お菓子を持って御礼に・・・」

 

やがて、母娘は納得したかのようにナースセンターを去って行った。

 

私はほっとしている看護師さんたちに微笑みながら、病院でお世話になった挨拶を済ませた。

 

「元気になってくれて良かった」と、みんなが笑顔で送り出してくれた。

 

師長はさらに、「さっきは慌てて押し付けてごめんね。助かったけど、あまり気にしないで」とのたまう。

 

※のたまう(宣う)

目上の人や、身分が高い高貴な方が「おっしゃる」という意味。

 

もう分かってくれた人もいるだろうが、病院には大概『いわくつき』のベッドや部屋が存在する

 

病気が長引いたり、なぜか死人が多かったり・・・。

 

私もその被害に遭った一人だ。

 

件のベッドは、夜中に何者かが耳元で患者の寿命を囁く。

 

それが当たるから怖い。

 

私は激しいストレスで精神を病んでしまった。

 

今はその傷もだいぶ癒えたが・・・。

 

え?私の寿命はどうだったのかって?

 

違うよ、私は担当だった、そのベッドの。

 

看護師だった。

 

その病院の元看護師。

 

(終)

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


コメントを残す

スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2018年5月
« 4月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
特定のキーワードからサイト内の記事を検索するには、すぐ下の「検索窓」からキーワードを直接入力してご利用ください。
アクセスランキング

このページの先頭へ