一人暮らしの女子大生の家にかかってきた電話
これは、私が大学生の時にあった話。
一人暮らしをしていた家の電話が鳴ったので受話器を取った。
すると、『●●さん(私の名前)ですか?私××病院(近所では有名な病院で私もお世話になっていた)の△△ですが・・・』と。
少し話を聞いたら、その病院の内科の先生との事。
何かあればお世話になる病院だし、その時もインフルエンザが流行っていたので邪険に出来ないと思い、話を聞くことに。
もし自宅に招いていたら・・・
さすがに病院の先生だけあって、私の住所や電話番号はもちろん、学校名や両親の名前と職業、最後はいつその病院に来たかということまで知っていた。
私はその△△先生は知らなかったが、この人は本物なんだと安心した。
だが、話をしているうちに、△△の言ったことに対して私が答えるアンケート式な質問が始まり、私はおかしいな・・・と思い始めた。
△△は最初、私に対して当たり障りのない質問をしてきた。
例えば、「最近は風邪をひかれていませんか?」とか、「今までで何か大きな病気はしたことがありますか?」といったもの。
それがそのうち、「薄着はしていませんか?今はどんな格好をしているの?」とか、「最近は十代の乳ガンが増えています。●●さんは胸は何カップですか?どんなブラジャーをしていますか?」なんて事を聞いてきた。
私が「えっ!?」とビックリしていると△△は調子に乗って、「心配なのでこれからすぐ訪問します。7分ほどで行くので」と言うと、電話をガチャリと切った。
私は暫しショックで呆然としていたが、ハッと我に返り、すぐに玄関から飛び出て逃げた。
その日は友人の所に泊めてもらったが、翌日に友人と一緒に私の家を見に行ったら、人が侵入した形跡は見られなかったのでホッとした。
その時は警察に言うのもなんだか恥ずかしく、通報はしなかった。
しかし、考えれば考えるほど怖い事だらけだった。
まず私の名前、住所、学校名、それから両親の名前や職業なんかも知っているという事で、多分これは無作為にかけらたエロ電話ではなかったという事。
それから、「7分で行く」とやけにリアルだった事。(自宅から病院までは10分はかからない)
しかしそれ以来、もうそんな電話はかかって来なかった。
時間が経つにつれて、△△に対して怒りがこみ上げてきたし、怖がってばかりでは生活できないので忘れることにしていた。
それから半年くらい経った後、自宅にある電話がおかしい事に気が付いた。
友人からの申告によって気付いたのだが、何故か公衆電話からかけても繋がらないようになってしまっていた。
私はその時は携帯を持っていなかったので、友人や両親との連絡はいつも自宅の電話からだった。
だから外で誰かが公衆電話で連絡を入れる時は、ちゃんとかかって来ていた。
それがある時からまったく繋がらなくなっていた。
試しに何度か公衆電話から自宅に電話してみても、「お客様の入力した番号は登録されていません」とアナウンスが流れて一方的に切れてしまうばかり。
これを機に携帯を持ったのだが、自宅の電話は公衆電話以外からかける時は使えるのでそのままにしておいた。(何度かNTTに連絡したこともあったが、当時PCを使っていた為にプロバイダに原因があるのではないか?との事でたらい回しにされた)
そして携帯を買って一週間が過ぎた頃だった。
ある日、私はバイト仲間が急な用事があってどうしても勤務できないのでシフトを変わって欲しいとの依頼を受け、慌しく自宅に帰ってバタバタとやっている最中に家の電話が鳴った。
誰だろう?大抵みんな携帯にかけてくるのになあ・・・と思いつつ、電話に出た。
すると、「すみません。何度かお電話いただきましたNTTの■■と申します。●●様にはお電話いただいた際、こちらの失礼ならびに不具合があったと存じております。私、今ご近所を回っておりまして、お詫びと電話の調査を兼ね、これからお伺いさせていただきます。よろしいでしょうか?」と。
もしバイトが無かったら今すぐにでも来て欲しかったが、これからすぐバイトに行かなくてはいけなかったので断った。
すると、「分かりました。今度はこちらの都合上、午後6時過ぎになりますがよろしいでしょうか?伺う時にお電話しますので、携帯電番もお願い出来ますでしょうか?」と。
私は少し躊躇ったが、前の事もあるので、「来ていただきたい時にまたこちらからお電話を差し上げますので、そちら様の連絡先を教えてください」と言った途端、ガチャリと切られてしまった。
私は、またしてもか?の気持ちを抱いて、バイト先の先輩に打ち明けたら即警察に通報してくれた。
正直、自分ではショックで呆然としすぎて何も考えられなかったので助かった。
もしバイトが無く、あの時にNTTの■■と名乗って電話してきた者を自宅に招いていたら・・・。
あまりにも怖かったので、すぐにその家から退去し、大学の女子寮に入った。
だから今はそのようなことは一切ない。
病院の△△とNTTの■■が同一人物ではないのかも知れないが、2回も騙された事と、危ない目に遭いかけた事を思うと、未だにはらわたが煮えくり返る思いに駆られる。
(終)
被害に遭わなくて良かった