旅館の天井裏で見つけたもの 1/2

自分が体験した旅行での怖い話を一つ。 

中学の時の修学旅行で京都へ行った時のこと。

 

夕食、風呂も終わって、

寝るまでの自由時間を楽しんでた時だった。

 

俺は、右隣の部屋に仲の良い連中がいるので

遊びに行った。

 

俺達は定番のトランプやらUNOやら一通り遊んで、

飽きはじめた頃、誰かが「怖い話をしようぜ」

なんて事を言った。

 

部屋の明かりを消して中央に10人ほど集まり、

1人目の話が始まった。

 

2人、3人・・・と話は進んでいき、

次はA男の番だった。

 

「安い旅館や修学旅行で使われる部屋って、

出るんだよな!

 

御祓いのために、お札が絵やツボの裏、

押し入れの中に貼ってあるんだってよ。

探してみようぜっ!」

 

怖い話を期待してたのでシラケつつ、

部屋中の捜索が始まった。

 

実際にあったらあったで面白いし、

何よりありそうな感じがした。

 

絵やツボの裏側、押入れの中はもちろん、

テレビの下などあちこち探したけど、

結局何一つ出てこなかった。

 

そのうち、どこかの部屋で始まっていた

マクラ投げが伝染して、

この部屋でもマクラ投げ大会が始まった。

 

だんだんエキサイトしてきて、

布団を投げ始めたりプロレスごっこになったり、

修学旅行の夜というのを満喫していた。

 

「おっ?」

 

少し遊び疲れた頃、

A男が天井にある点検口を見つけた。

 

天井裏に入るための入口で、

普通の家だと洗面所あたりの天井に付いてる。

 

そこの旅館は、なぜか部屋の端っこの天井に

付いていた。

 

A男は悪いやつじゃなかったが、

ちょっと度が過ぎてしまうタイプだった。

 

「おぃ、あの中に入って見ようぜ!

隣の部屋まで行けるんじゃね?」

 

暗所、閉所恐怖症の俺は断固拒否した。

 

他の連中も、

疲れただの汚れるだので拒否してた。

 

「なんだょ、じゃ俺が入ってみっから

馬になってくんね?」

 

3人で二段の馬を作り、

A男が点検口を開ける。

 

スムーズには開いたが、

パラパラと埃が落ちてくる。

 

たぶん、長い間使われることが

無かったんだろう。

 

開いたその先には、

真っ暗な空間が広がっている。

 

「なんだよ、くれーなー」

 

A男が中に頭を突っ込んで喋ってる。

中が明るいとでも思ったのだろうか。

 

「あ・・・」

 

何かを見つけたのだろうか、

A男が声を漏らした。

 

「おぃ、なんかあったぞ!」

 

と言いながら、A男は両手を

穴の中に上げたまましゃがんで、

頭だけを暗闇の中から出した。

 

穴が小さいため、

手に持っているものと頭を同時に

出せなかったんだろう。

 

手をゆっくりと、暗闇の中から

明るいこちらの世界へ戻す。

 

手に持っているものが見えたとき、

その部屋の中にいる人達の動きが

一瞬止まった。

 

「うゎぁぁ!なんだこれ!」

 

天井裏は暗くて、A男にはそれが何なのか

まったく分からなかったんだろう。

 

分かっていれば、それを取ろうなどとは

考えもしなかっただろうに。

 

A男が天井裏から見つけた物は、

赤い柄の付いた和紙で出来た折り人形。 

それと、お札小さな赤い本だった。

 

長い年月置かれていたからなのか、

人形の表面は埃で黒く汚れ、

 

お札は、かろうじて文字が読める程度にまで

古びていた。

 

小さな赤い本は、

ポケット辞書ぐらいのサイズで、

 

赤黒くなった表紙には、

なにやら文字が書いてあった。

 

A男は驚いた拍子なのかわざとなのか、

周りにいた人達にそれらを投げつけた。

 

もちろん誰も受け取ろうとはせず、

本はバサっと畳の上に落ちた。

 

人形は和紙で作られていたせいか、

ヒラヒラと舞い落ちて、

部屋の隅の方へ落ちていった。

 

片方の手と足を畳に、

もう片方の手で壁を支え、

偶然なのかナナメに立った。

 

お札もヒラヒラと舞い落ちて、

人形の後を追うように畳に落ちた。

 

心なしか、人形はA男を

睨みつけているように見えた。

 

A男は馬から飛び降りて、

再び人形を手に持ち、

また俺たちに投げてきた。

 

たぶん、自分でもやばいと思ったんだろう。

 

その気持ちを誤魔化すかのように、

静かになったその部屋で、

半笑いで人形や本を投げつけてきた。

 

A男以外、誰も言葉を交わさない。

 

引きつった顔で、

人形と本から逃げまくる俺達。

 

B男「それ、やべーから元に戻せって!」

「うん、うん」

 

ついにB男が口を開いて、

それらを元の位置に戻すように提案した。

 

A男もすぐに、元に戻すことに賛成した。

 

A男は人形とお札と本を拾い、

軽く埃を払って「ごめん」と呟いて、

天井裏の元の位置に戻した。

 

(続く)旅館の天井裏で見つけたもの 2/2へ

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