かえるのうた 2/4

先輩の説明を聞いても、

何が行われるのか全く分からない。

 

当初はお祭り気分で楽しめるような

行事だとばかり思っていたのが、

何か異様なもののように

感じ始めていました。

 

とはいえ、

そんな失礼な事を言うわけにもいかず、

私の考えすぎであることを

願うばかりでした。

 

その日は行事が始まる時間まで

のんびりしてようという事で、

 

前日ほとんど寝てなかった

先輩は寝てしまい、

私は先輩の叔母さんと

話したりして過ごしました。

 

夜になって夕飯やお風呂を済ませ、

あとは行事が始まるのを

じっと待つだけとなりました。

 

この間、先輩のお母さんの姿は

一度も見ていません。

 

11時を過ぎた頃、

事態が動き出しました。

 

四人でたわいもない話をしていたところ、

電話が鳴り、叔母さんが出ました。

 

10分ほど話して電話を切り、

先輩と先輩の父には、

「そろそろ用意だから行っておいで」と、

 

私には、

「○○ちゃんはここにいよっか。

私も一緒にいるから」

と言いました。

 

何も分からなかった私は、

「はい」と答えるしかなかったです。

 

すると、先輩がムッとしたような表情で

叔母さんに近づいていきました。

 

そしてなぜか険悪なムードになり、

突然二人の言い合いが始まりました。

 

「叔母さん、昨日も家に残ってたよね。

なんで?」

 

「何年も前から

さんざん言い続けてるでしょう?

私は認めてない。

 

どうしてもやるなら、

あんた達だけでやりなさい・・・って」

 

「やっとお母さんが選ばれたのに、

まだそんな事言うわけ?

叔母さんだってしてもらったくせに。

今日だってお母さんはずっと準備してるのに」

 

「私はあんた達とは違うの。

いいから早く行きなさい」

 

私は状況が飲み込めずに

おろおろするしかなく、

昼間の不安がますます募っていきました。

 

しばらく二人の言い合いは

続いていたのですが、

 

先輩が時計を見て

時間を気にしたのか口を閉じ、

言い合いは終わりました。

 

黙って見ていた先輩の父は、

途中で先に出ていってしまい、

 

苛立った様子の先輩は、

ばたばたと出かける支度をし、

玄関へ向かいました。

 

「昨日より気合い入るわ~

これから何があるか、しっかり見ててよ!」

 

私にそう言うと、

先輩は出ていきました。

 

先輩の姿が見えなくなったその瞬間、

いきなり叔母さんが玄関の鍵を急いで閉め、

私の手を掴んで居間へ戻りました。

 

そして私の顔を見つめ、

神妙な面持ちで話し始めました。

 

「○○ちゃん、

今から私が話す事をよく聞いて。

もう0時をまわったわね。

この後1時になったら、ある事が始まるわ。

このままだとあなたは犠牲者になる

 

思わぬ言葉でした。

 

「えっ?・・・

おっしゃってる意味が分かりません。

どういう事なんですか?」

 

「詳しくは後で話すから!

とにかく、今は解決するための話をするわ。

こうなってしまった以上、

あなたはその行事を見なければいけないの。

 

1時になったら2階に行って、

部屋の窓から外を見なさい。

何があっても最後まで見なきゃダメよ。

ただし、声をかけたりしてはダメ。

ただ見て聞くだけでいいの」

 

「聞く?聞くって何をですか?

一体何なんですか?」

 

「歌よ。あの子達が歌う歌を聞くの。

必ず最後まで聞かなきゃダメよ。

耳を塞いだりしないで最後まで。

いいわね?」

 

もう何が何だか分からず、

泣き出したい気持ちで一杯でした。

 

何かとんでもない事に

巻き込まれてしまったのでは、

どうしたらいいのか、

と頭がぐるぐるしていました。

 

叔母さんは私の頭をそっと撫でながら

「大丈夫」と言ってくれましたが、

何を信じていいのか分かりませんでした。

 

しかし、その間にも

どんどん時間は迫ってくる。

 

結局、叔母さんに言われたとおりに

するしかありませんでした。

 

時間が過ぎていくにつれ、

私の心臓は破裂しそうな程

バクバクしていました。

 

どうしよう・・・どうしよう・・・

 

そうこうしている内に1時が近づき、

叔母さんに2階へ行くように促されました。

 

「一緒に来てくれませんか」

とお願いしましたが、

 

「私はここにいるから、

歌が終わったらすぐに降りてらっしゃい。

くれぐれもさっき言ったことを

ちゃんと守るようにね」

 

が答えでした。

 

「さぁ・・・」と背中を押され、

逃げ出したい気持ちで2階へ上がり、

昼間にいた部屋へ入りました。

 

でも、窓の外を見ようとする事が出来ず、

ただうずくまって震えていました。

 

もうやだ、怖い。

それだけでした。

 

5分・・・10分・・・

 

どれくらい、

そうしてうずくまっていたかは

覚えていません。

 

とても長い長い時間に思えました。

 

ふと、何かが聞こえてきている事に

気付きました。

 

話し声?

叫び声?

 

何かが聞こえる。

 

私は無意識に窓に近づき、

外を見ました。

 

窓の外、

あの水溜まりの周りに、

いつのまにか大勢の人が

集まっていました。

 

子供も大人も、男も女も。

 

十代ぐらいの子や、

五~六歳ぐらいの子、

熟年の方や高齢者の方・・・

 

20人ぐらい、

もっといたかもしれません。

 

その全員が、さっきまでずっと

雨にでも打たれていたかのように、

服も体もずぶ濡れでした。

 

ピクリとも動かず、

全員が水溜まりを見つめています。

 

そして、何かを話している・・・?

 

(続く)かえるのうた 3/4へ

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