指輪 1/2

実は学生時代の話はもう一つあり、

それについて最近わかったことがあります。

 

こっちは井戸の一件同様、

俺の体験談が入っています。

 

Bの学生時代の元彼氏Eの話は前に書いた。

 

Eは俺らの遊び仲間じゃなかったんで、

井戸の一件には絡んでない。

 

Bとは卒業直前あたりで、

就職のことで行き違って別れたと聞いてる。

 

ひょっとしたら今も、

Bを出入りしてるものの存在は

知らないかもしれない。

 

学生時代、Eから貰った指輪を

Bが仲間内で披露してたことがあった。

 

金銀組み合わせの指輪で、

仲間内の女子の言では、

結構いいものらしかったが、

Aが凄い微妙な様子だった。

 

井戸の一件の後だったので、

俺は後でこそっと「あの指輪なんかある?」と、

Aに聞きました。

 

A「・・・うん・・・まずいかも。

でも、どうしよう。俺くん、

お祓いできる人とか知らないよね?」

 

俺はAの他に「みえるひと」の本物は

一人も知らなかったので、そう言うと、

Aは閉口した様子で。

 

Aは、自分がみえるひとだが、

経験則で危ないものを避けてきただけで、

霊能者などの知り合いはいないらしいです。

 

A「・・・それに、Bも貸してくれないよね・・・

お祓いとかするところにB本人連れて行ったら、

まずBのアレと揉めるかもしれないし・・・」

 

かと言って、

指輪が霊的に危ないなどと言ったら、

 

Bのことだからそれこそ面白がって、

肌身離さず持ち歩くのが、

俺にも想像出来た。

 

「・・・ま、Bはアレがいるから

大丈夫なんじゃん?」

 

と俺は言ったが、

Aは複雑な顔で、

 

A「ん・・・ていうか・・・ちょっとね・・・」

 

と言い、

それで会話は終わりました。

 

次の日、大学内でAが事故って怪我した。

 

捨ててあった何かのガラスで

サックリ切ったとかで、

 

大学の保健管理センターへ運ばれたAは、

その時一緒に居た同じ科の奴に、

 

自分の荷物は最寄の講義室に置いといてくれ、

後で取りに行くから、と言ったらしい。

 

その事故の後に、

そいつと俺が出くわして話した。

 

財布とか貴重品は、

さすがに放置じゃまずくないか?

と言うことになり、

俺が預かっといてやるってことにした。

 

講義室に行くと誰もいなくて、

Aの鞄がぽんと椅子の上に置いてあった。

 

見覚えはあったが、

他の奴のだったらまずいし、

失礼して中を開けて、

何か氏名の解るものを確認しようとした。

 

そしたら・・・

 

財布の入ったポケットの中に、一緒に、

小さなビニール袋に入った指輪が見えた。

 

前日、Bが皆に見せまくってたのと、

そっくりのが。

 

え、何で?これBの指輪か?どうしてAが?

と思ったが、

 

単に同じもの買ったのかもしれないし、

 

まあひょっとしたら

Aが思い切って無断拝借して、

 

お祓いに持ち込むつもりだった

のかもしれないとも考え、

 

とにかく財布の中の免許証を確認して、

鞄を持って部屋を出ようとしたら、

 

後ろから「にゃー」って声がした。

 

振り向いたら、

窓枠の所に灰色っぽい猫がいた。

 

にゃあってもう一度鳴いた猫が、

ひょいっと窓から外へ下りてから少しして、

気がついた。

 

・・・さっき居なかったよな?猫。

 

それでここ、4階だよな?

外に木の枝とかあったっけ?

 

慌てて鞄を置いて窓に駆け寄って見ると、

窓の外には何もない。

 

木の枝が張り出してもいないし、

建物の外側のどこにも猫はいないし、

勿論落ちて死んでたりもしない。

 

4階位なら飛び降りて逃げられるもんなのか?

と思いつつ戻ってAの鞄を手に持って仰天した。

 

絶対さっきまでなかった派手な裂き傷が、

鞄に付いてた。

 

ダメ押しにもう一度、

足元で「にゃー」って声がするに至って、

 

ようやく俺は、Aがしきりに気にしてた、

例の指輪が俺の持ってる鞄の中にあるんだ、

という事実に気がついた。

 

「・・・」

 

ぞく、と背筋が寒くなったところへ、

また「にゃー」、さらにガリッて音が続いた。

 

見下ろすと、俺の靴ヒモが結び目のところで、

何箇所か裂けてた。

 

もちろん猫は居ない。

 

『にゃー、にゃー、にゃー、』

 

かなりの至近距離に聞こえるその声は、

何だか段々と嫌な感じになってきてた。

 

冷や汗をかき始めた俺の周りを

うろうろしてた鳴き声に、

ぼそっと暗い感じの人間の声が重なった。

 

?『・・・なんか、死んじゃえ。

死ねばいいのに』

 

エコーをかけたような変な声だった。

 

「・・・!」

 

硬直した俺は、

とっさに大急ぎで携帯電話を出して、

速攻で電話をかけた。

 

プルル、プルル、と

呼び出し音が鳴る間も、

足元で見えない猫が鳴いてた。

 

靴や鞄がカリカリ音を立てて、

ちらっと見下ろすと床にも何だか、

傷が増えてきてるような気がした。

 

ガリッと衝撃があって、

足首に痛みが走ったのと同時くらいに、

電話が繋がった。

 

B『はーい、もしもしー?』

 

「Bか!?あのさ、俺だけど、

えっと、Aのこと聞いた?」

 

有難いことに、Bは学内に居た。

 

急いでAの怪我の件を説明し、

荷物を預かってくれと頼むと、

Bは快諾した。

 

電話を切った俺は、

Aの鞄を持ってダッシュして、

Bと待ち合わせた場所へ向かった。

 

(続く)指輪 2/2へ

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