後悔と感謝の念

俺は高校を出てから

一人暮らしを始めて、

 

実家には、たまにしか

帰りませんでした。

 

27歳の時。

 

婆ちゃんに電話して、

『1月2日には帰るから』

と言っていたのですが・・・。

 

1月2日に友達と遊んでいて、

帰るのがメンドくさくなっていました。

 

その時、普段旅行なんぞ

絶対に行きたがらない友達が、

 

『どこか旅行でも行きたいねぇ』

 

などと言うのです。

 

俺の親戚に旅館を経営している

人がいるので、

 

予約を入れようと思ったんですが、

電話番号がわからない。

 

そうだ!

実家の婆ちゃんなら知っている!

 

そう思った俺は婆ちゃんに、

1月2日(今日)は実家に帰らない事と、

 

旅館を経営している親戚の

電話番号を教えてくれという、

電話をしました。

 

婆ちゃんは寂しそうに、

『帰らないのかい・・・』

 

って言っていたので、

申し訳なく思ったんですが、

 

また今度帰ればいいや、

ぐらいに考えていました。

 

その日の夜、

 

婆ちゃんは心臓発作で

亡くなりました。

 

最後に会話したのは俺でした。

何日もずっと自分を責めました。

 

もしその日に俺が実家に

帰っていれば、

 

婆ちゃんが亡くなることは

無かったかもしれない。

 

婆ちゃんの作ったぜんざいを、

食べることはもう出来ない。

 

葬式が終わって2週間ぐらいした後、

夢に婆ちゃんが出てきました。

 

何も言わず、

ニコニコと笑っているだけでした。

 

1年ぐらい経った後、

霊能者の方に見てもらったことがあり、

 

その時、

『あなたにはお婆ちゃんがついている』

と言われました。

 

『あなたはすぐに無茶な事を

したりするので心配してるわよ』

とも。

 

散々心配かけた挙句、

看取ってあげることも出来なかった

婆ちゃんがついてくれている。

 

本当に嬉しかった。

 

そんな俺にも、この前、

子供が生まれました。

 

大好きだった婆ちゃんから、

1字もらいました。

 

(終)

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