死んでも自由なおじいちゃん
え~っと、
うちのお母さんの話なんだけど。
うちのおじいちゃん、
小さい時からいつも無精髭伸ばしてて。
あたしが小さい時も、
遊びに行って帰る時とかにわざと、
『ブブーッ』って音立たせてホッペに
チュウしてくれて、
髭がチクチクして、
『わ~~~~っ!!(笑)』って。
嬉しいながらも
キャーキャー騒いでたんだけど、
あたしが中学生の時に死んじゃって。
凄く大好きなおじいちゃんだったから、
おかあさんと寂しがってはいたんだけど
自由気ままなおじいちゃんだったから。
重い体が無くなって、今は自由かもねって。
凄く寂しいけど、あったかい気持ちで。
何年後かなぁ、ある日、
お母さんが友達関係だったかな、
悩んでて。
それで悩んだまま寝たんだけど、
次の朝起きたらちょっとビックリした顔で
嬉しそうに言うの。
「昨日さ、夢でおじいちゃんが
あたしのホッペにチュウしてくれたんだよね、
元気だしなさいよ~って感じで。
ほら、いつもわざと音立ててチュウするし、
髭もチクチクしてたからさ?
朝起きたらその感触が残ってるんだよね。
励ましに来てくれたのかなぁ~(笑)」って。
なんか本当に嬉しそうで、
あたしも凄く逢いたかったから
羨ましくって。(笑)
絶対におじいちゃんが来てたような
気がするんだよねって。
でも可笑しかったのが、
それを次の日おばあちゃんに話したら、
「あら!あたしなんて死んだ次の日、
おじいちゃん白い着物着て、
三角の頭に着けるやつ付けてさ、
あたしを鎌持って追い掛けて来たんだよ!
まったくもう!(笑)」って。
みんなで洒落の効くおじいちゃんだねって
笑ったの思い出した。
でもお母さんが羨ましいなぁ。
あたしもおじいちゃんにチュウされたい。(笑)
(終)
「ばあちゃんに対してチュウじゃないのはじいちゃん照れ臭かったんだね~」…なのか?
ほっこりするのをためらうわ、鎌…