事故物件ではないけれど出ちゃう家

家

 

俺は、ちょっと見える体質の不動産業の勤め人。

 

この話は、内覧に来たご家族(ご夫婦と20歳位の娘さん)を案内した時の事。

 

案内した物件は、いわゆる事故物件ではないけれど『出ちゃう家』

 

目から上だけが床から出ている長い黒髪の女と、引き戸の隙間から出てくる腕がレギュラーの面子だ。

 

その時も、ご家族を2階へ案内した時に早速出やがった。

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さっさと売れてくれないかな、あの家・・・

廊下の端で顔半分の女がこちらを伺っている。

 

俺は怖がり屋なので、「接客中に出るなよ・・・嫌だなぁ・・・」と思いながらも、さりげなく女の顔と逆の壁に寄って壁材を売り込み始めた。

 

すると、ご家族のお嬢さんが半分出ている顔の方へズカズカと行き、女の脳天辺りをドンドンと踏み出す。

 

途端、困ったような焦ったような表情になって消える女。

 

そして、「あ、すみません。床はしっかりしてますね」と笑顔で言うお嬢さん。

 

俺は確信した。

 

絶対見えている、この人。

 

引き戸のレールを這っていた腕は、お嬢さんの絶妙な引き戸テクニックで轢死。

 

居間の隅に佇んでいた白っぽい人影は、お嬢さんの物凄い凝視に後ずさりし、壁に消え失せた。

 

俺は霊達よりも、出てきたものを無言で全部撃退するお嬢さんが怖かった。

 

当物件とこのご家族は良い相性だと思ったけれど、この話はまとまらず、無害な霊達は今日も無人の家の中をうろついている。

 

さっさと売れてくれないかな、あの家・・・。

 

(終)

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