本当は怖かった日本の農村

農村

 

世間には、「犯罪とは都市で起こるものであり、日本古来の農村地帯はのどかで秩序だっていて、近代の都市部とは違い平和で犯罪はなかった」という誤解があります。

 

しかし、そういう閉鎖された農村地帯や地方コミュニュティーというのは、“実は陰鬱でおかしな犯罪の温床”でもあったのです。

 

例えば、間引き、夜這い、村八分、村の権力者による暴行、強姦、犬神や狐憑き殺人のような迷信や因習に縛られた暴行事件、実は殺人事件であった神隠し等、犯罪行為はゴロゴロありました。

 

村の女性がレイプ同然に暴行されていたり、村のある一家が村八分で酷い目に遭わされたりと、嬰児が大量に間引きで処理されてもお上には訴えられず表立った犯罪にはなり難いということはありますが・・・。

 

「昔は、村や地元の秩序状態が犯罪にはなり難い犯罪を誘引していた」が正解です。

 

ただ、夜這いについては現代では少々誤解があります。

 

まるで村の女性が村の男に有無を言わさずレイプされてしまうよう言われていますが、実際は当時の独身女性には貞操観念などなく、しかもセックスは最大の楽しみであり、村の女性たちは「村の男が私を悦ばせにやってくる」と、夜はワクワクして床に就いたそうです。

 

薩摩だったかの逸話に、村の男が男色に耽(ふけ)り、女性とのセックスをサボりだしたのに怒った女性たちが、男たちが集まって男色している所に殴り込んで乱闘になったという話すらあります。

 

「当時の村の女は夜這いによって無理矢理に犯された哀れな性奴隷であった」という現代の誤解は、「女性が自分の意思でセックスを求めるわけがない」という歪んだ女性像からきています。

 

女性の側にはちゃんと自分の体調や相手によっては拒否権があり、もしもそれを破って強引な夜這いに及んだ男は、村八分などの制裁を受けます。

 

つまり、夜這いは「村の男女の性の捌け口であり、最大の娯楽」という、男女共に楽しめる平等なものでした。

 

しかし、これもあくまで過去の時代の話で、現代では夜這いは一般的風習にそぐわない単なる犯罪行為になってしまったのも事実です。

 

その為、夜這いの習慣の名残は各地でトラブルを生みました。

 

例えば、単なる旅行者の女性が村の若者に村の夜這いの習慣によって集団レイプされた事件や、南九州で東京から来ていた女性が地元の男に略奪婚の習慣で拉致され、親子共々「うちにもやっと嫁さんが来た」と泣いて喜んだ事件など、表立った騒ぎになった事件がいくつもありました。

 

他にも、『名張毒ブドウ酒事件』や『津山三十人殺し』も動機は夜這いのもつれらしく、陰鬱な農村型犯罪です。

 

また、『月ヶ瀬村の殺人』や、殺人事件とは思い難いですが『便層で死んだ男事件』などもそのカテゴリでしょう。

 

(終)

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