人魚の子孫だけが暮らす海辺の村
これは、俺が生まれ育った一族の物語の一つである。
俺の一族は、地元でも有名な海の一族。
海の一族とは、『人魚の子孫』とされる者たちのことだ。
なので、俺は人魚の一族の子孫ということになる。
もちろん現代の日本で、俺が「人魚の子孫である」と言うと、頭がおかしい奴だとしか思われないだろう。
たが、俺が人魚の子孫だと確信できる証拠もちゃんとある。
例えば、一族は俺を含めて全員が、30分程度なら息継ぎをせずに潜水することができるのだ。
なので、女たちは海女さんをやっている人が多い。
そして俺の一族は、人里離れた所にある、人魚の子孫だけの海辺の集落で暮らしている。
本来なら、こんなことを口外するのはご法度だが、時代のせいか、すでにかなり外の文化が入ってきているのであまり気にはしていない。
また、この村では年に一度、一族の祖先である人魚の霊を降臨させるための『魚姫祭』というお祭りを行う。
それも満月の夜に。
お祭りが始まってしばらくすると、村の砂浜の沖合いにある岩に、魚姫様が降臨なさる。
魚姫様が降臨すれば、まず魚姫様に海水で炊いたご飯を投げつけるのだ。
なぜご飯を投げつけるのかは不明で、ただ「こういうお祭りだから」としか聞かされていない。
魚姫様にご飯を投げつけると、魚姫様は喜んだ表情をなさる。
その後、魚姫様は海に帰られ、一族の年に一度のお祭りは終了する。
これが、俺が生まれ育った一族の物語の一つ。
(終)
いやまあほとんどの話が創作、つまり嘘の話なんやけどさ
この話はちょっと嘘八百が過ぎへんか?