色んなモノを寄せ憑ける体質 2/2

ヤドリギ

 

久しぶりに会ったむっさんは、

驚くほどやつれていた。

 

俺の顔を見るたび、

 

「遅せえよ!」

 

と真顔で怒鳴った。

 

店にはたまたま他に客もなく、

 

俺とバイト君、

むっさんの3人だけだったが、

 

むっさんのそんな顔を見たのは

初めてだった。

 

「ああ・・ミナトさん、

この人ですわ」

 

とバイト君が囁き、

 

バイト君はむっさんになぜ店に

やって来たかを手短に説明した。

 

むっさんは俺たちをカウンターに座らせ、

料理を仕込みながら話し始めた。

 

「俺な・・・

昔から霊が見えたり、

 

ちょっとした霊なら

追っ払ったり出来てたんだ。

 

お前にもやっったことあるだろ、

背中さすったり叩いたり。

 

なぜかアレで離れていくんだ。

理屈は分かんないけどな」

 

むっさんの暖かい手を思い出した。

 

「でも、お前が初めて

うちに来た時はビビったよ。

 

ジジイやガキ、犬猫、

 

はては何か分かんないモノまで

背負ってたからな。

 

これは俺の推測だけどな、

 

お前は色んなモノを呼んじまう

体質なんだろ。

 

色んなモノがお前に憑いては

離れていく。

 

例えるなら、

ヤドリギみたいなもんだな。

 

お前の生まれた土地や

血縁の影響かも知れんが、

 

素人の俺には分からん」

 

バイト君と同じようなことを

むっさんも言った。

 

「もうひとつ分かってるのは、

 

お前自身には何もないのに、

周りが影響を受けるってことだ。

 

ある程度の霊感を持ってる人間は、

世の中にごろごろいる。

 

でもお前といると、

それが増幅されるんだ。

 

俺も、

 

お前をここに連れて来てくれた、

このバイト君も。

 

今までお前の知らないところで、

 

影響を受けて霊に怯えてたやつは

きっといたはずだ」

 

小学校のAちゃんや中学の同級生、

高校時代の出来事もそうなんだろうか・・・

 

むっさんに話してみると、

 

「おそらく、そうだろうな」

 

とあっさり言った。

 

「問題は、今お前の周りを

うろうろしているやつだ。

 

これからお前の周りで

変な噂が流れ始めたり、

 

体調を崩すやつが続出したり、

 

もしかしたら直接ソイツを

見てしまうやつが出てくるだろう。

 

ソイツは待ってるんだ。

 

まずお前の周りを弱らせ、

 

お前が人間関係に疲れ、

仕事に疲れて弱るのを待ってるんだ。

 

計算高くてタチが悪い。

 

お前に恨みがあるわけじゃないと思う。

 

なんで他のやつみたいに、

離れていかないのかも分からない。

 

何が目的かも分からないが、

ただお前が呼んじまったんだ」

 

むっさんが俺の少し後ろを

睨みつけているような気がして、

 

思わず振り返ったけれど、

俺には何も見えなかった。

 

「もしかして、電話くれたり

メールくれてたのって・・・」

 

「ああ、なんか胸騒ぎしたり、

 

夢にお前が出てくるようになって

心配だったからな。

 

まさか俺が心配しすぎて、

 

バイト君にまで伝わってるとは

思わなかったけどな」

 

むっさんがバイト君を見て笑ったけれど、

バイト君は眉をひそめて黙り込むばかり。

 

「俺が助けになるなら力になる。

しばらくうちに通え」

 

むっさんはそう言った。

 

それからしばらく経った頃・・・

 

むっさんは自殺した。

 

むっさんの漫才の相方は、

 

ネタが書けなくなって悩んでいた

と言っていたが、

 

そんなことで自殺するような

人じゃないのは、

 

むっさんを知る誰もが知っていた。

 

バイト君は重度の鬱でバイトを辞めた。

 

一度バイト君の実家に電話をしたが、

バイト君のお母さんが出て、

 

「あなたのせいで!!」

 

と訳の分からないことを喚いていた。

 

同僚の女の子が、

おかしな音がすると言い出した。

 

警備会社が変わった。

 

上司が事故に遭った。

 

同僚が転勤を申し出た。

 

「社員旅行の写真に、

おかしなものが写っている」

 

そんな噂が流れ始めた。

 

なぜか誰も、

その写真を俺には見せてくれない。

 

去年の年末、

会社からしばらく休むように言われた。

 

特に大きなミスをした覚えもない。

 

食い下がったが取り合ってもらえず、

休職することになった。

 

今も俺の後ろでは、

何かが行ったり来たりしているのか。

 

それとも、俺の背中に

張り付いたままのやつがいるのか。

 

残念なことに、

俺には何も分からない。

 

(終)

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