姉の死と僕が繰り返しみる夢との接点
僕の姉は、
1995年に病院で死にました。
死因は最後まで判明しませんでしたが、
一ヶ月くらい、
とても苦しんでから死にました。
時々大きな叫び声を上げたりして、
見ているだけの僕にもつらい体験でした。
僕は10歳くらいの頃から
ある『陰鬱な夢』を、
※陰鬱(いんうつ)
暗く沈んで晴れ晴れしないさま。
半年に1回程度の頻度で
繰り返し見るようになりました。
夢の内容はこうです。
僕は工場の倉庫みたいな場所にいます。
照明は暗い緑色で、
辺りには魚が腐ったような臭いが
充満しています。
壁は白い金属で出来ていて、
とても複雑な構造をしています。
突然入り口のドアが外から激しく叩かれ、
ガァン!ガァン!と物凄い金属音が
中に響き渡ります。
僕はドアを押さえにいきます。
ドアを叩いている人を中に入れると
僕は恐ろしい目に遭う、
ということを本能的にに直感していたので、
死に物狂いで押さえていました。
ドアには工事現場などでよく使われる
黄色と黒色の縞模様と、
会社のロゴらしい複雑な幾何学模様、
そして注意書きらしいハングル文字が
何行か書かれてありました。
夢の中で一番鮮烈に記憶しているのが、
このドアです。
夢の内容はいつも同じですが、
姉が倒れる4日前に見たものは、
いつもと内容が違いました。
ドアを押さえるところまでは
同じなのですが、
壁の向こうから、
姉の声が聞こえてきたのです。
僕は壁に向かって「○○姉さん!?」
と声をかけました。
姉らしき声はそれに反応して
僕の名前を呼びましたが、
そのあと何か言いかけたところで、
叫び声とともに声は途切れてしまいました。
姉の遺品を整理していた時、
日記帳が出てきました。
内容は絵がほとんどで、
あとはよく分からない観念的な短い文章が
いくつか綴られていました。
※観念的(かんねんてき)
具体的事実に基づかずに頭の中で組み立てられただけで、現実に即していないさま。
絵はアニメのキャラクターや
動物が中心でした。
描きかけで止めたような
よく分からない線の塊も、
いくつかありました。
最初に通して見た時には
気付かなかったのですが、
ラフ過ぎてよく分からなかった
絵のいくつかが、
ドアに描かれていた会社のロゴマークに
似ているような気がしてきたのです。
何度も見ているうちに、
そのロゴにしか見えなくなってきました。
姉もあの工場にいたのでしょうか・・・
(終)