そのお地蔵様に近づくと死んでしまう
これは、とあるお地蔵様にまつわる話です。
私の母が通っていた中学校の近くには、『首狩地蔵』とも呼ばれるお地蔵様があるそうです。
そのお地蔵様は藪の奥まった所にあって、「近づくと祟りがある」と言われているとか。
実際、お地蔵様の周りを掃除してあげるために近づいた人達のうち、何人かが近づいた途端に亡くなっているそうです。
桜並木の近くの藪の中に
そんなこともあって、祖母がまだ若かった頃に近所のお寺のお坊さんが供養しようと、自分のお寺の境内にお地蔵様を運んだそうなのです。
ですが、そのお坊さんもすぐに熱病で亡くなってしまった以降、お地蔵様は元の場所に戻され、誰も近づかなくなったそうです。
今では誰も近づかないため、お地蔵様のある藪は荒れ放題となり、何処にあるのかは母も正確には知らないと言っています。
もちろん祖母の世代は何処にあるのかは知っているとの事ですが、私は怖くて場所を聞くことさえ出来ません。
そのお地蔵様が、なぜ『首狩地蔵』と呼ばれているのかといえば、お地蔵様の首から上は、どうしてか刀で切られたかのように無くなっているそうなのです。
袈裟懸けで切られたかのようなので、『袈裟懸け地蔵』とも呼ばれていると。
※袈裟懸け(けさがけ)
(けさをかけたように)一方の肩から斜めに他方のわきにかけて物をかけること。
そのことが祟りに何か関係あるのかもしれません。
私の母の実家は、静岡県西部の農家の多い田舎にあります。
そして件のお地蔵様は、桜並木の近くの藪の中にあるそうです。
静岡県西部をお訪ねの際は、桜並木の近くの藪にはむやみに入らない方がいいかもしれません。
もし首の無いお地蔵様を発見してしまったら、あなたの身にも何か起こるかもしれませんから。
(終)