「怖い、殺される、助けて」と訴える患者たち
私は病院で看護師をしているが、これは一昨日の夜勤中に起きた出来事。
ナースコールが鳴って訪室すると、ナースコールを鳴らした四人部屋の廊下側ベッドの患者Aさんが「怖い、殺される、助けて、ここはイヤ」としきりに言っていた。
同じく廊下側ベッドの患者Bさんも、「怖い・・・怖い・・・」と繰り返し言っていた。
ちなみに、部屋奥の窓側ベッドの二人は完全認知症で発語は無い。
何かはあったのかもしれない
しかし、怖がっていた二人も認知症で、他人とまともなコミュニケーションは取れない。
なので、二人で何があったかと共に訴える事なんて出来ないし、個人でも何があったかを説明は出来ない。
ただ「ここは怖い、イヤ」と訴えるだけ。
その後、患者Bさんは話題を変えると怖いと言っていた事をすぐに忘れてくれたが、落ち着かない患者Aさんは仕方なく一旦ナースステーションに連れて行った。
消灯時間が過ぎてまだ30分くらいの出来事だった。
この騒動を翌日の飲み会で同僚に話すと、その二人が入室している隣の部屋の廊下側ベッドの患者さんも以前に、「助けて!!」と夜間に怯えだした事があるとのこと。
この患者さんも認知症だったので、具体的な事は聞き出せず。
ここは病院というより老健施設のように広くて明るい雰囲気の施設なので、病院にあるような怪談めいた陰鬱な感じは全く無い。
現場を預かる夜勤の責任者としては、変質者の侵入でなければ問題無いとか剛毅に考えもするのだが、ただ二人同時に訴えていたので『何かはあったのかな?』とは思えなくもなく・・・。
余談になるが、大したことのない症状の人でも、そのベッドを宛がわれると死んでしまう、通称『サヨナラベッド』なるものも存在するなんて噂があるので、その部屋自体に”何か”あるのかもしれない。
病院の建物の出入り口にはカメラはあるが、病棟内を映しているカメラは無いので確認しようがない。
ちなみに、騒ぎが起きたのは3階建ての3階病棟だった。
(終)
3階が何?