毎晩のように見かけた優しげな女性
これは、就職した直後に住んでいたアパートでの話。
そこでは不思議な女性をほとんど毎晩のように見かけた。
寝入った直後のまだ夢に入る直前に、その女性が窓のところに腰掛けている、そんな夢のような光景を見る。
女性は20代後半の優しげな雰囲気。
窓を閉めた夜でも、雨戸を閉めた夜でも、その光景を見ている時は窓は開いていて明るい月夜だった。
なんだか色々と話したような気もするが、記憶には残っていない。
毎晩見ていたはずなのに、その女性の存在すら1年ほどは記憶になかった。
多分、気のせいではないと思う。
・・・というのも、そのアパートに住んでいた時期だけは、他の場所でも色々と不思議なものを見ていたから。
それに、そのアパートに連れてきた女の子とは必ず別れるハメになった。
こちらは関係あるかどうかは分からないが。
結局、そのアパートには10年ほど住んでいて、引っ越す前夜、なぜかポロポロと泣いてしまっていた。
(終)
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