天井を右から左に視線を送る祖母

天井

 

これは、96歳になる私の祖母の話。

 

今は介護老人保健施設にいて、親戚たちで順に面会へ行ったり、洗濯物の回収をしたりしている。

 

祖母がいるのは建物の4階なのだが、縁起が悪いとの理由で「5階」と呼ばれている。

 

祖母は認知症も進み、また調子の良い日と悪い日の差が激しくなってきていた。

 

私が面会へ行った日のこと、起き上がりもせずに横たわったまま天井を見つめていた。

 

話しかければ会話はできるが、時折辻褄の合わないことも言う。

 

声をかけて様子を見ていると、祖母は小さく首を振っては天井を右から左に、そしてまた右から左に視線を送っていた

 

左にあるのは窓。

 

私が天井を見ても、当然ながら何もない。

 

「首を振っているけど、どうしたの? 枕の高さが合わないのかな?」と聞いたら、「みんながお宮へ行くから見てる」と。

 

みんなとは誰なんだろう?

 

何か行列でも見える?

 

まさかお迎え?

 

建物の4階の天井は、5階の床の高さとほぼ同じ。

 

以前に某霊能者が、「5階はちょうど霊の通り道の高さなんですよね」と言っていたのを思い出したが、そんなことってあるのだろうか。

 

それから1ヶ月後の今、祖母は病気をせず無事に暮らしている。

 

その間、同じフロアで亡くなられた方もいらっしゃらないようだから、少なくともお迎えではなかったのだろう。

 

(終)

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