もうひとりの私
私が小学校6年生の時に
大好きな親友がいて、
土曜日に学校が終わってから、
遊ぶ約束をしていたんです。
土曜日って、学校が
お昼で終わるじゃないですか?
「1時頃に私の家に来て」
と親友に告げて、
お互い自分の家に帰ったんです。
私は家で一人、お昼ご飯を食べてから
寝転んでテレビを見てました。
そしたら、自分でも気付かないうちに
眠り込んじゃってたみたいなんです。
ノックの音で目が覚めて、
「はっ」っとして起き上がって
玄関に出ると親友がいて、
「あぁ、寝ちゃってたよ。ははは」
なんて話しながら、
親友を家に上げたんです。
そしたら、
「さっき、○○ちゃん(私)、
私の家に来なかった?」
って言われたんです。
もちろん寝てたし、私が彼女の家に
行けるわけがないんです。
しかも、私は彼女の家を知らない・・・。
彼女が言うには、
私はちゃんと私の自転車に乗って、
私の着ている服を着て、
彼女の家の前に
立っていたそうなのです。
しかも、その『私』は、
彼女の名前を
彼女の家の玄関先で呼んだらしい。
それに気付いた彼女が
窓から私の姿を見て、
「今行くー!!」
と言って玄関に出ると、
もう『私』の姿はなかったそうです。
その『私』の姿は、
彼女のお母さんも見ていますし、
あれから6年経った今でも、
彼女は「あれは○○ちゃんだったよ」
と言うのです。
(終)