時代遅れの古びたドライブイン

彼女を助手席に乗せて、

映画を観に行こうとしていた。

 

少し離れているが

車で1時間ぐらい掛けて、

 

大きいシネコンまで行こう

ということになった。

 

国道は混むので、

 

山越えになるが全く混まない

抜け道を走っていく事にしたんだ。

 

その道は山の入り口付近に

お店と自販機があって、

 

そこを過ぎると、山を越えて

ふもとに下りるまで店がない。

 

山に入って少ししたところで

助手席の彼女が、

 

「のどが渇いた」

「なんか飲みたい」

 

って言い出しやがった。

 

しょうがないから、

 

さっき通り過ぎた自販機まで

戻ろうと思って、

 

Uターン出来る所を探した。

 

少し道が広くなっている所が

あったので、

 

Uターンして自販機のあった所まで

引き返すことにした。

 

対向車も来なかったので

簡単に三点ターンを決め、

 

元来た道を引き返した。

 

売店を過ぎてそんなに

経っていないはずだったが、

 

なかなか売店まで

辿り着かなかった。

 

それどころか、

 

なぜか日が沈んで、

辺りが暗くなってくる。

 

映画を観る前にお昼ご飯を

食べるつもりでいたので、

 

こんなに早く日が暮れる

わけがなかった。

 

おかしいと思いながら

しばらく車を進めていると、

 

古びたドライブインが見えてきた。

 

おかしい。

 

こんなものは見たことないし、

来る途中でも通らなかった。

 

もちろん道は一本道。

迷うわけもない。

 

とりあえずドライブインに

入る事にした。

 

駐車場には何台か

車も停まっているし、

 

中にも外にも

人がいるのが見える。

 

変な雰囲気を感じながらも

どこが変か分からないまま、

 

俺と彼女はドライブインの中に

入っていった。

 

ドライブインは、

 

「売店コーナー」

「食堂コーナー」

「ゲームコーナー」

 

に分かれていた。

 

彼女が売店で飲み物を買ってる間、

俺はゲームコーナーに入ってみた。

 

ゲーム画面を見てみると、

なぜか全部ゲームが古い。

 

ペンゴやディグダグ、

1942などが置いてある。

 

懐かしいなーと思っていると、

彼女が戻ってきた。

 

買い物しても、

消費税を取られなかったらしい。

 

やっぱりなんか

やばいような気がして、

 

すぐに立ち去る事にした。

 

車に乗り込んで、

 

目的地であった映画館がある

町方向へと進む。

 

40分ほど走ったところで、

いつものように山を越えることが出来た。

 

さっきのドライブインは

何だったんだろうね、

 

という話になった。

 

来る途中では通らなかったし、

 

でもドライブインから出てからは

普通に来れたし、

 

わけが分らなかった。

 

なんか少しのどが渇いていたので、

 

彼女がさっき買ったジュースを

もらって少し飲んだ。

 

ペットボトルかと思って

受け取ったそれは、

 

意外に重く、

 

ガラスのビンで白と黒のラベルに

「sasuke」と書いてある。

 

変わったジュースだなあ

と思って飲んでみると、

 

薬臭い味がして、

口の中が気持ち悪くなった。

 

それと同時に、

 

なんだか頭の中も

気持ち悪くなったような気がした。

 

(終)

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