留学生と神社へ行った時のこと 3/3

神社

 

老婆にそう言われ

石段の上へ目をやると、

 

お堂がある場所(私達が居る場所)

からさらに長い距離で、

 

真っ直ぐ石段が続いており、

 

突き当りには

大きな社があります。

 

社の前に人影が見えますが、

 

木が鬱蒼としていて、

薄暗くて良く見えません。

 

その時、

 

スーザンが老婆達の前で、

初めて言葉を発しました。

 

お堂の中を指差し、

 

そこに祀られている、

 

大豆のようなゴツゴツとした

石みたいな物体を指差しながら、

 

「これは何ですか?」

 

と訊いたのです。

 

すると老婆達が、

 

「ギエー!」

 

という大きな悲鳴を上げました。

 

「日本人じゃない!」

「バツをほうず!」

「今すぐ降りろ!」

「降りろ!降りろ!」

 

とまくし立て始めました。

 

スーザンは目が青いものの、

黒髪で体格も小さいので、

 

老婆達はスーザンが

アメリカ人であることに、

 

彼女が片言の日本語を発するまで

気づかなかったのでしょう。

 

上の大きな社へ目をやると、

老婆達の悲鳴を聞いたからか、

 

先ほど見えた人影が、

 

こちらへ向かって降りて来る

のが見えました。

 

動きは急いでいるようですが、

 

足が悪いのか、

ソロリソロリと降りて来ます。

 

私は怖くなり、

 

スーザンの手を引いて、

足早に石段を駆け下りました。

 

その時のスーザンの手は、

酷く汗ばんでいて冷たかった。

 

一度も振り返らず、

 

山に入る時に

四つん這いになってくぐった、

 

小さな鳥居のところまで

降りて来ました。

 

二人とも急いで靴を脱ぎ、

小川を渡り始めた時、

 

異変に気づきました。

 

先ほどは、くるぶし程までしか

なかった小川の深さが、

 

膝に達するくらいまで

深くなっていたのです。

 

なんとか反対岸まで渡り終え、

後ろを振り返ると、

 

スーザンは小川の真ん中で

立ったまま動かなくなっています。

 

「スーザン?大丈夫?」

 

と問いかけると、

 

決して私の前で英語を

喋らないスーザンが、

 

英語で絶叫し始めました。

 

英語が苦手な私は、

 

何を言っているのか

全く聞き取れません。

 

絶叫が途切れ、

口をパクパクさせた後、

 

スーザンはそのまま川の中に

倒れ込みました。

 

その時、私は後ろに

気配を感じました。

 

後ろには、

 

お守りを売ってくれた

若い神主さんらしき男性が

 

立っていました。

 

男性は服が濡れるのもいとわず

川に入り、

 

スーザンを支えるようにして、

 

こちらの岸まで

連れて来てくれました。

 

スーザンは体に力が全く入らない

ような状態になっており、

 

呼吸も荒くなっていました。

 

神主さんらしき男性と二人で、

 

スーザンを抱えるようにして

車まで運びました。

 

男性は、

 

私達の車が駐車場にあるのに

姿が見えないことを心配して、

 

辺りを探していたそうです。

 

「まさか、あの深い川に入って

水浴びしてるなんて思わなかった」

 

と言われ、

 

「最初は、くるぶしくらいの

深さしかなかった」

 

と答えると、

男性は酷く驚いていました。

 

さらに、

 

私達が石段を登った先で

見たものについて話すと、

 

男性の顔が一気に

青くなりました。

 

そして、

 

私達が石段の上へ

行ったことについて、

 

怒りました。

 

老婆達について

深く聞こうとすると、

 

「いるはずがない」

「入れないように橋を撤去した」

 

と言い、

 

男性はさらに顔を青くして

震え始めました。

 

続けて男性は、

 

「早く帰った方がいい。それと、

今日のことは忘れた方がいい」

 

と言いました。

 

私達が体験したことについて、

もっと詳しく聞きたかったのですが、

 

男性の尋常ではない

対応を目にして、

 

それ以上の質問を続けることは

出来ませんでした。

 

スーザンの具合が悪いので、

私は車を発進させ、

 

神社の駐車場を出たのは、

お昼を少し過ぎた頃でした。

 

住宅街を抜けて、

県道へ出て、

 

そのまま自宅へ引き返しました。

 

スーザンはその後、

 

風邪を引き、

高熱を出しました。

 

数日は食べ物も喉を通らず、

 

何度か病院で点滴を

受けていました。

 

スーザンは8月に帰国

してからも健在で、

 

今でもメールの交換を

続けています。

 

ただ、

 

スーザンはあの日のことを

良く覚えていないようです。

 

「神社の川で溺れたのは

覚えているんだけど・・・」

 

それが彼女の唯一の

記憶のようです。

 

私一人が白昼夢を

見たのでしょうか。

 

「あの老婆達は何者だったのか?」

 

「小川の向こう側の小さな神社

への招待は何だったのか?」

 

気になるものの、

 

あそこへもう一度足を運ぶ

勇気がありません。

 

今でもたまに、

石段を登る夢を見ることがあります。

 

(終)

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