訪ねて来た女性が残していったもの
私は結婚して2年目。
平日は仕事で、
休みは土日。
いつもは洗濯や掃除を
まとめて土日にするのですが、
今日はなんだか気が進まず、
昼寝したりぼぉーとしたり。
夫もいつまでも起きて来ないので、
気にせずまったりと過ごしていました。
正午くらいにインターホンが鳴り、
モニターを見ると知らない女の人が。
30~40代の女性です。
何かの集金?
夫の知り合い?
夫は起きて来ないので
確かめることも出来ず、
とりあえず私もパジャマのままの
だらしない格好だったので、
応答せずにいると、
階段を降りて帰っていく音が聞こえました。
すると3分後、
またインターホンが鳴りました。
同じ女性でした。
気味が悪いのでやはり返事をせずにいると、
また帰っていきました。
夕方になり、
晩ご飯の材料を調達するため
外に出ようと玄関のドアを開け、
鍵を閉めようとした時、
郵便受けに透明のセロハンに包まれた、
一輪の花がささっているのを見つけました。
少しぐったりしている花でした。
その花が菊の花であり、
仏花であることに気がつき、
徐々に事の重大さを理解し、
怖くなりました。
どうして!?なんで!?
とパニックになっているうちに、
昼に訪ねて来た女性のことを
思い出しました。
彼女は誰なのでしょう。
そして彼女は、
何故知っているの!?
それからは一歩も外に出られず、
今も一人、
恐ろしさで動けずにいます。
(終)
解説
私は夫を殺していて、
訪ねて来た女性がその事実を知っている。
「なんだか気が進まず」
↓
『夫を殺したせいで』
「夫は起きて来ない」
↓
『夫は既に死んでいるから』
「何故知っているの!?」
↓
『夫を殺した事実を、
なぜ知っているのかという疑念』
「今も一人」
↓
『夫が死んでいることは確実である』