いわくつきの無人宅に肝試しに入ったら
数年前に惨殺事件があったという
いわくつきの無人宅がある。
そこへ、
俺と友人AとBの3人で、
深夜に肝試しに入った。
「なぁ・・・惨殺だったんだろ?
恨みとか凄そうじゃん、怖ぇよ」
「あぁ、
そりゃ悲惨だったらしいぞ。
抉られたり、くりぬかれたり、
滅多刺しにされたり・・・
しかも、犯人はまだ
捕まってないんだよな」
「だけどA、
おまえ普段幽霊なんて怖くない、
なんて言ってなかった?」
・・・なんて言いながら、
家の中を懐中電灯の灯り一つで
見て回った。
わりと綺麗なままのキッチン。
座布団があちこちに散乱している
居間と思われる部屋。
仏壇の扉が開いたままの仏間。
気味は悪かったが、
これといった霊現象を体験する事もなく、
30分ほどで家を出た。
「なぁ、
俺は霊みたいなものは
何も見なかったけど、
お前ら見た?」
「いや、
俺もな~んにも。
お前は?」
「俺も全然見てないよ」
「俺も何も見てないんだよ」
結局は何もなかったな。
少し拍子抜けしたが、
なんとなく安心した。
(終)
解説
最初入った時は3人だった。
最後に「お前ら見た?」と
語りかけているのに対し、
3人が『見ていない』と答えている。
つまり、
家から出てきた時には
4人いることになる。